発達障害の人には
症状の緩和効果も期待できる

 なぜ「重い掛け布団」のみが、睡眠の質に影響するのか。鍵は「重さによる圧迫」だと、加賀さんは指摘する。

「マイアミ大学が行った実験では、人は体に圧迫が与えられた状態だと、ストレスホルモンの『コルチゾール』が31%低下し、幸せホルモンの『セロトニン』が28%増加することが分かっています。布団の重量が、人体に圧迫感を与え、セロトニンを活発に分泌させるのではないでしょうか」

 幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」は、眠りを促す「メラトニン」というホルモンを合成する。「圧迫」が「快眠」と関係していることは間違いなさそうだ。

 圧迫がリラックス状態を生み出すことや、不安感の減少に効果があることは分かっているものの、どのような働きでその効果が生み出されているのかは、明らかにされていない。加賀さんは「私の考えですが、マッサージに近いのだと思います」と、仕組みを解説してくれた。

「マッサージの刺激が人をリラックスさせることは実証されています。マッサージで触圧刺激を受けたとき、その刺激が自律神経に作用し、副交感神経が優位になるのです。副交感神経が優位になると、セロトニンなどが分泌され、リラックス感が生まれます。恐らく、掛け布団の重さが、マッサージと同様の圧を与えるのではないでしょうか」

 つまり、ある程度の重さがある掛け布団を身体の上にかけることで、マッサージを受けているかのような状態を作り出すことができるというわけだ。

「元々、重い掛け布団は、自閉症で触感覚が過敏なアメリカの動物学者、テンプル・グランディンが、その克服のために『強めの圧迫感が効果的』ということを発見したのが成り立ちです。そのため、自閉症、不安やストレスが原因の不眠症に加え、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)の人が使用しても、症状の緩和効果があるといわれています」

 こうした背景があるため、昔は医療機関で売られることが一般的だったが、今はインターネットで簡単に買うことができる。医療用だと6万円近くするが、家庭用の商品だと1万~2万円程度と、価格も低めだという。