国立国際医療研究センター病院総合感染科科長、国際感染症センターセンター長の大曲貴夫医師国立国際医療研究センター病院総合感染科科長、国際感染症センターセンター長の大曲貴夫医師 Photo by Hiromi Kihara

名医やトップドクターと呼ばれる医師、ゴッドハンド(神の手)を持つといわれる医師、患者から厚い信頼を寄せられる医師、その道を究めようとする医師を取材し、仕事ぶりや仕事哲学などを伝える。今回は第27回。日本の感染症医療を進化させてきたパイオニアとして知られ、まさに現在進行中の新型コロナウイルスによる感染症治療の最前線で奮闘している国立国際医療研究センター病院総合感染科科長、国際感染症センターセンター長の大曲貴夫医師を紹介する。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

感染症科は今や
最も重要視される診療科

「平成の30年間はまさに感染症の時代でした」――令和の幕開けを控えた2018年暮れ、国立国際医療研究センター病院 感染症センター(以下、DCC)へ赴き、「平成30年間の感染症を振り返る」(記事『サーズ、マーズ、鳥インフル…平成を襲った「感染症」の脅威は終わらない』参照)というテーマで取材した際、センター長の大曲貴夫先生はそう切り出した。

 先生は、感染症を専門とする医師がほとんどいない時代にその重要性に気づき、日本社会における感染症医療の進路を示してきたパイオニアだ。