流行拡大に大きな影響を及ぼした大統領選挙

 もう一つ、この流行拡大に大きな影響を及ぼしたのが大統領選挙である。感染者数が再度増え始めた11月に大統領選挙と国会議員選挙が始まった。この選挙の間は、人々の関心はどうしても直接選挙である大統領選挙、同時に行われた国会議員選挙に集まってしまい、エボラの対策は手薄になってしまった。

 大統領選挙終了後、相変わらず増加し続けるエボラに対して、これまで行ってきた(1)迅速な感染疑い患者の発見、(2)検査による確認、(3)隔離しての治療、(4)感染者との接触者の確認と予防接種、(5)医療施設での感染防御、(6)コミュニティにおける啓発、(7)適切な埋葬、(8)心理社会的ケア、(9)国境対策を確実にすること、この地域の治安の悪さと住民の抵抗に対しての対応を強化することとなった。

 このような中、治安が悪いといわれていたカツワにおいて、エボラ治療センターが襲撃され、看護師が犠牲になってしまった。保健省の発表では次のように伝えられた。

「2019年2月24日、夜10時にカツワにあるエボラ治療センターが襲撃され、火災が発生し、逃げようとしていた看護師が小川に落ち、犠牲者となった。幸い、この治療センターに入院した10人の患者は影響を受けず、他の医療施設に移送された」

 2014年の西アフリカで頻発した医療施設への襲撃が、現実として起きてしまったのである。

 この地域の政府、国連機関への不信は根深く、エボラ封じ込めの政府関係者の悩みは深刻となり、エボラの地域的拡大が継続することとなった。

 しかしながら、8月までは拡大を続けていたエボラの流行であったが、9月からその減少が始まり、10月には激減してきた。その理由としては、次のようなことが指摘された。

 第一には、一番大きな課題である早期発見、早期診断が移動検査室を増やすことにより改善してきたこと。

 第二には、WHOが臨床試験として行ってきたエボラワクチンが有効で、この地域や流行の拡大が心配された北キブ州の州都・ゴマ市でのワクチン接種が進められ、ゴマ市での流行が起こらず、拡大の根が絶てたこと。

 第三には、これも臨床試験として実施されてきた4つの薬剤のうち2種類の治療薬が有効で、エボラ治療センターにおいての治療が可能になったことによると考えられている。

 2020年2月17日に北キブ州ベニ市での一例を最後に、その後の発生はない。エボラの終結宣言は、3月30日の予定である。