コロナが繋いだ「縁」
多業種の協力が実現

今後はビジネスの安定化が課題だ。開発など初期の業務に必要なブリ3本は、父の会社が無償で提供してくれた。そのため、販売分も最初は安い価格で提供できる。しかし、「今後は無償提供には頼れない。卸値よりも少し高いくらいの価格で魚を買い取れるようにしたい」というのが、深川さんの目標だ。
弁当開発の第2弾はマダイを予定している。メインの魚料理とご飯だけのシンプルな弁当だが、自然解凍してもおいしく、何より国産魚が贅沢に使われているのが強みだ。
広範囲に人や物の動きが止まり、「リーマンショックよりはるかに深刻」との声も聞かれる、今回のコロナショック。自分の会社だけではいかんともしがたい状況でも、同じように苦しんでいる他の業界と手を組めば、思いもよらない解決策が生まれるかもしれない。
深川さんの会社とホテル、父の養殖会社、そして子ども食堂…。普段なら交わらないようなメンバーが、ひょんなきっかけから協力し、余った魚と人材を組み合わせて誕生した冷凍弁当。まだ小さな取り組みだが、いつ終わるともしれないコロナ蔓延を生き延びるための、参考にできる1つの事例である。