2「Never Give-Up」
サラリーマンは雇われてる立場なので、「結果がすべて」です。サラリーマンが存在価値を残せるのは、自分がある事業や機能部門の担当になってから、その担当を離れるまでに変えた数字、それでだけです。同じ会社の中ならまだ他に評価されるポイントがあるかもしれませんが、いちど会社を出てしまったら、その数値でしか評価されません。
どんな素晴らしい人でも、数字がなければ「ただのいい人」です。
一方で、外資系によくいるのが、性格最悪だけど仕事できる「独裁者」。でも、そのいずれでもなくて、「いい人」でなおかつ「数字も残す」という「伝説」の領域を目指さないといけない。というのも、周りにいい人だと思われないと長期的には人がついてきてくれないし、かつ結果を残さないと、何のキャリアにも実績にもなりません。
若い頃に先輩に言われたんですが、サラリーマンは自分の名前がブランドなんですね。田端(信太郎)さんの本に『ブランド人になれ!会社の奴隷解放宣言』(2018年、幻冬舎)ってありますが、以前にもそっくりのタイトルの翻訳書が昔あったんですよ(『トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦<1>ブランド人になれ!』(2000年、CCCメディアハウス))。「あいつに任せれば、こういう仕事するよね」と思われるのは、立派なブランドなんです。
ブランドを守るためには、できない約束はしないことです。または、約束したら、死んでも守る。ブランドって、その積み重ねで高まりますし、崩れるときは一気に崩れます。飲み会も同じことで、「行きます」といってドタキャンする奴は誘われなくなります。熱があろうが仕事が忙しかろうが、約束したら絶対に行く。
比較的業績が悪い会社に長くいたので、そういう組織には特徴があることがわかったんですが、数字を達成できないことにみんな慣れていて、悔しがらないんです。でも、「あきらめたら、試合終了」なわけです。みなさん、いろいろな言い訳があります。
典型的な言い訳が仕事の環境なんですが、実は環境はまったく言い訳になりません。「景気が悪い」「取引先がイマイチで」「上司がバカで。部下がダメで」とか。景気も良くて取引先や社内のメンバーもいい人ばかりの環境では、仕事ができて当たり前です。気が合わないとか特に優秀でもないメンバーとでも、初めての施策でも、結果が出せるかどうか、が優秀かどうかの分かれ目です。景気も取引先も上司も部下も自分でコントロールできないことですから、それによって結果を左右されたらいけない。これを言い訳にしないようにしてください。
よく「リーダーシップ」のセミナーとかありますけど、けっこう話し方とかスタイルの話が多いんですよね。でも実は会社や事業の状況や社風によって、必要または効果的なリーダーシップのスタイルは違うんです。それを使い分ける柔軟性が、本当のリーダーシップです。結果を残すために一番いい方法をとるのがリーダーシップだと思っています。
また、みなさん若いのでピンとこないかもしれませんが、ビジネス上で「正しくない」と思うことは、上司に言われてもやらないことです。「忘れてました!」とスルーする。そもそもそんな仕事は結果が出ないので、自分のキャリアにプラスにならないし、楽しくないです。多くの人は読んだことがないかもしれませんが、だいたいの就業規則には「ビジネスに正しいことを追求すること」と書いてあり、「上司が言うこと」ではありません。ただ、上司は上司なので、ガン無視とかすると評価はされないので、「やったふり」とか、そこはうまく工夫するのが大事だと思います。
もうひとつ上司関係でいえば、先進的なこととか、新しいことをやろうとするときは、必要以上の承認をとろうとしないことです。「新しくないです。大丈夫です」と言うと、みんなパパッと印鑑を押してくれます。先日、『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』という本を書いた本田哲也さんというPR会社ブルーカレント・ジャパンのCEOが言ってたんですけど、「新しい、戦略PRをやりましょう」というとまず通らないので、普通にやるプランの中に紛れ込ませておくと通りやすいらしいです
本当は前例がないことがイノベーションなんですけど、経営側がやりたがらない気持ちもわかる。なので、承認は必要最小限に押さえて、自分のリスクでどんどんやっていくのが大事です。上司の耳に入れても、失敗したらどうせ責任をとってはもらえないので、それなら耳に入れなくてもいいのかな、と。ただ会社には承認権限がありますから、それは守らないといけません。なので、「承認権限を最大活用する」というのが正しいやり方だと思います。最近だと、ネットやPRなどの施策の多くは数十万円、たぶん皆さんの承認範囲の予算でできてしまうので、勝手にやっちゃえばいいんです。
エイベックスの松浦(勝人)社長がよく言ってるんですけど、ふつうのヤツは「こうしたいんですけど、いいですか」と言ってくる。できるヤツは「こうしたいので、やっちゃいました」と言う。まさにこの通りで、成功できるかどうかは自分の「気合い」の違いです。環境や家族、上司、ポジション、規則を言い訳にしてはいけない。なんとか成功させるために、正しいと思ったことをなんとか、自分のリスクで通して進めていく。これを突き詰めると成功する確率が絶対にあがると思ってます。(続きは次回。明日公開します!)