また、地元である武漢の病院に勤務するある看護師が「微博(中国版ツイッター)」に投稿したコメントも多くの人の涙を誘った。

「お父さん、ごめんなさい!私はどうしょうもないの、あなたを助けることができない」

 彼女の父親は人工透析の患者であったが、透析を受けられず亡くなってしまったのだ。

上海の医師と看護師が語った
武漢での医療の実情

 折しも、筆者の友人である上海の医師と看護師が、今回、武漢への医療派遣チームに参加していた。最前線から帰った友人らに話を聞かせてもらった。

 友人の医師(男性)がしみじみと語った。

「上海からの第一陣は30人の医師と100人の看護師のチームだった。空港に着いて街に行くと、武漢はまるでゴーストタウンように静まり返っていた。街中には、人っ子一人いない状態だった。

 担当した病院は設備や医療用品が上海と違ってあまりにも不足しており、かなり焦った。病院側がスタッフを付けてくれたが、やはり初めのうちはお互いに慣れるまで大変で時間がかかった。

 全国からチームが来ているので、最初は意見が合わなかったりもして、机を叩いて喧嘩もした。

 われわれが一番気を遣ったのは、スタッフがどんな状況に置かれても感染しないことだった。とにかく、今回はたくさんの惨状を目のあたりにした。自分たちは医者ではあるが、それでも、あまりの悲惨な状況で、衝撃を受けた。一生忘れることがないだろう」

 もう一人の友人の看護師(女性)は、下記のように複雑な胸のうちを語った。

「正直、内心では行きたくなかったが、自分は共産党員である以上、行くしかなかった。『感染しないか』と親が心配し、出発の際は家族全員が生き別れになるかのように泣いたほどだった。

 しかし、武漢に着いて現場に入ると、使命感が湧いてくるのを感じた。

 なぜなら、武漢の人たちはわれわれ医療支援チームを、まるで『救いの神』を見るようかのような目で見ていたからだ。実際に見た武漢の惨状はSNSで拡散していた様子よりも、何百倍もひどかった」