夫が年金受給できる65歳時点に
用意できる老後資金はいくら?
今回のご相談者は、子どもが大学に進学し、教育費のめどが立ったというUさん。住宅ローンの支払いも終わり、これからは夫婦の老後のお金について考えていらっしゃいます。ただ、夫の会社に退職金がなく、今ある貯蓄で老後が賄えるのか、いつまで働けばいいのか、不安になられているようです。早速、現在の収支から見ていくことにしましょう。
夫の年収は840万円、Uさんご自身の年収は扶養の範囲内で90万円です。夫の年間手取り額を700万円として、世帯収入790万円で試算してみます。月間の支出は48万円、年間576万円になります。固定資産税、自動車税などの一括でかかるものは入っていないとのことから、一括で支払っているものの合計を30万円と仮定し、年間の合計支出を606万円とします。収入790万円、支出606万円ですから、年間の収支は184万円の黒字になります。ここではキリのよい金額にして、年間180万円を貯蓄できることにしましょう。
Uさんは現在50歳、夫は58歳です。夫は60歳で退職しなければならないわけでもなさそうな半面、相談には「65歳まで働ければいいのですが…」とも記載があります。今回の試算では65歳まで働けるとしますが、現在の収入は60歳まで、61歳~65歳の年収は少し減額して600万円、手取り額500万円(Uさんの収入と合算して590万円)とします。
一方、支出に関しては夫が60歳になると月々2万円以上の保険料負担がなくなり、また子どもは19歳なので3年後には子どもにかかる支出はなくなります。ここではこれらの支出が不要になるのはともに3年後としますが、老後を考えると支出は早い段階から抑えた方がいいので、月間の支出は10万円減額して38万円、年間456万円(一括支払い含め486万円)に減らすこととします。
上記の金額に基づき試算を続けると、夫が60歳になるまでの2年間は年間180万円貯められるわけですから、貯蓄は360万円増えることになります。61歳からの65歳までの5年間は世帯の手取り収入590万円、支出486万円となり、年間の黒字額は104万円。ここでは104万円は全額貯蓄に回すことができるとして、5年間で520万円に。つまり、夫が65歳になるまでに貯蓄を合計で880万円増やすことができます。
つみたてNISAとiDeCoをスタートしたばかりとのこと。この金額は試算の貯蓄額に含めることにします。また、国際分散投資に月々3万円を積み立てているとの記載もありますが、この3万円は支出に含めず同様に貯蓄額に入れることにします。
Uさんの現在の金融資産額は、貯金400万円、外貨年金保険500万円、外貨定期預金500万円、国際分散投資200万円、郵便局保険700万円の合計2300万円です。