新興BEVメーカーのほとんどが単なるアイデア集団であり、自動車メーカーとは呼べない“起業前の準備段階企業”という程度の存在だった。試作車の製作まで進んだ企業はほんの一部だった。

BEVスタートアップ企業
現在では20社以下に

 これらのBEV専業企業は投資家から「何も生まない」と批判を受け、資金調達では銀行やファンドの審査をパスできなくなった。そのため、多くの企業が廃業した。また、一時期はBEVスタートアップ企業を礼賛していた中国政府が「車両生産認可は20社程度に絞り込む」と言い出すと、淘汰が始まった。最盛期には100社といわれたBEVスタートアップ企業は、現在20社以下に絞られた。

 現在でも残っているのは、前述のバイトンをはじめ、時速300km/hを出すBEVスーパーカーに特化したNIO(蔚来汽車)、不動産企業が旧サーブ・オートモビルを買収して知的財産を取得したNEVS(ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン)、IT系企業が後押しする小鵬汽車、IT系企業からスピンアウトした奇点汽車などだ。これらの企業は生産工場を持っており、中国国内ではすでに販売を行っている。

 ただし、経営状態は必ずしも良好とはいえない。生産を開始しても赤字計上の企業が多い。BEVスタートアップが生き残る道として「大手自動車メーカーと提携し、自社製BEVの販売で得たNEVクレジットを提供先に販売して利益を得る」という手段が急速に浮かび上がった。現在は提携先探しが活発化している。一時期は日本でも「中国はBEV先進国」「スタートアップ企業が続々と誕生」などと報道されたが、現実は極めて厳しい、とわかる。

(報告/牧野茂雄、まとめ/CAR and DRIVER編集部)

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