最後の旧来型エリート 商社 番外編Photo:Xvision/gettyimages
特集『最後の旧来型エリート 商社』の番外編では、商社セクターを担当する新進気鋭の若手アナリストが寄せた、“旧来型エリート”たちへの緊急提言をお届けする。

給料が高い一方でリストラの可能性はほぼゼロ――。一度就職してしまえば人生の「勝ち」が確定したのも同然といわれるのが総合商社だ。しかし、株式市場においては商社ほど不人気なセクターはないと言っても過言ではない。(みずほ証券シニアアナリスト 楠木秀憲)

楠木秀憲
(みずほ証券シニアアナリスト)

くすのき・ひでのり/2014年京都大学経済学部卒業後、SMBC日興証券入社。16年みずほ証券入社、18年1月より現職

 2014年新卒の私にとって、就職活動中に感じた商社の人気の高さは記憶に新しい。しかしアナリストとして株式市場の視点で商社を見ると、日本社会と株式市場では、その評価に大きなギャップがあるように感じる。

 商社は一般に「過去最高益を更新し続けるエリート集団」と思われている。だが私の考えでは、株式市場における商社の評価は「資源バブルで偶然得た利益を使って非資源の資産を積み増してきた中途半端な投資会社」というものだ。

 なぜ、そう評価されているのか。まず資源バブルが崩壊した08年以降、商社のPBR(株価純資産倍率)はおおむね1倍を割っている。PBRとは簡単に言うと、経営者が株主から預かったお金(純資産)に対して、株式市場がどれくらいの価格(時価総額)を付けているのかという評価の物差しである。一般的にPBR1倍は解散価値ともいわれ、1倍を割っている会社は株主価値を毀損している、つまり何らかの改善が必要な会社であることが多い。

 商社のPBRが1倍を割っている理由として考えられるのは、株式市場が商社に成長を期待していないということ。そして、商社というビジネスモデルの株主資本コストが高いということである。