1年で最も売れる「週刊ダイヤモンド」年末年始の恒例企画をオンラインで同時展開するスペシャル特集「総予測2020」。ダイヤモンド編集部が総力を挙げて、多くの識者や経営者に取材を敢行。「2020年の羅針盤」となる特集をお届けする。今回は、商社業界の2020年予測記事をお届けする。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
変わらない「資源頼み」
史上最高益から暗転の予兆
2019年3月期に大手5社中4社が史上最高益をたたき出した総合商社業界だが、今期は5社合計で減益が見込まれ、暗雲が漂い始めている。
「『稼ぐ力は落ちていない』と言うが、MDPを除くとROA(総資産利益率)が2%台ということ自体、もともと稼ぐ力がなかったのではないか」。19年11月に三菱商事が開いた決算説明会。壇上に居並ぶ首脳陣に対し、機関投資家から辛辣な質問が浴びせられた。
MDPとは三菱商事が1968年に豪州で設立した100%子会社で、英豪系BHPビリトンと製鉄用の原料炭事業を手掛ける。MDPを中心とした金属部門は今の三菱商事の“ドル箱”であり、17、18年度と純利益全体の実に4割超を稼ぎ出した。