極めて小さいウイルス
光学顕微鏡では確認できず
新型コロナウイルスが世界中で猛威を奮っています。ウイルスと人類との長い闘いの歴史の中で、今回も長期戦を覚悟して臨まなくてはならない情勢です。
ウイルスは、細菌や真菌などの微生物と違い、細胞壁や細胞膜、細胞質、核などの構造体を持っていません。大きさは0.02~0.3マイクロメートル(μm)と著しく小さな微生物で、生物かどうかも定かではありません。人工培地や自然環境の中では増えることができず、生きた生物の細胞内で増えることができます。
小さすぎるために光学顕微鏡で見ることはできず、姿をとらえるためには電子顕微鏡が用いられます。ウイルスの中でヒトに有用なものは知られていない一方で、病気の原因となるものは日本脳炎ウイルスやインフルエンザウイルスなど数多く存在します。
これに対して大腸菌、ブドウ球菌、結核菌などの細菌は、ヒトに有用な細菌と病気の原因となる病原性細菌があります。大きさは1~4μmで、ほとんどの細菌が人工培養や環境中でとらえることができ、最も小さな単細胞生物ととらえられています。肉眼では見えませんが、光学顕微鏡であれば見ることができます。
ちなみにμm(マイクロメートル、ミクロン)は、100万分の1メートルです。雨粒の直径は1000μm、髪の毛の太さは直径100μmくらいです。キノコの胞子は10~30μm、カビは5~20μmです。それに対してウイルスは0.02~0.4μmとされており、極めて小さな存在であることがわかります。