スクープ連発を実現した
「チーム力」とは

 ただし、彼女たちが女性の武器を使ったということはまったくありません。どんな仕事でも、鉄則といわれるホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)を徹底していたのが、このチームの特徴でした。どんな細かいことでもデスクに報告し、どの点をつなげてタイトルにしていくのかを相談し、そのタイトルで記事を書いて正しいのか、今度は部下と相談して、徹底的に裏付けを取る、その連続でした。

 チームの責任者、森下の報告はモウレツをきわめます。私は、締め切り前日は深夜、東京・赤坂の会社から自宅の横浜まで車で1時間ほどかけて帰ります。その帰路に彼女から電話がかかってくると、タクシーでずっと電話の報告です。家に着いて、妻に目で「先に寝てくれ」と合図をしながら、まだ報告を聞きます。

 ああ、もう携帯の電池が切れるなあと思ったころに、質問しても、返事がきません。報告すべきことを報告したら、疲れきったまま寝込んでしまったようです。

 上司との電話の途中で勝手に寝込んでしまった森下記者が翌日、どうしたか。早朝チームで集まり、昨夜の私とのやりとりの中で、タイトルになるべき点、裏付けするべき点を議論し、締め切りまでの最後の1日を深夜まで取材します。

 森下記者の見立てと事実関係が違うと思う記者は徹底的に反論する。それが数時間に及んだこともあったそうです。
 
 ジャーナリズムのあるべき姿を実践すれば結果が出るということです。