大企業が「有利」すぎる

アメリカや中国では、小さなベンチャー企業がいきなり大企業と取引が始まる例がよく起こる。
それは、どちらの国にも契約社会が成立しているからだ。

「日本でも契約はある!」と反論するかもしれないが、本当の契約社会というのは、お互いの利害が一致していないのが当たり前という前提で契約をする。
だから、お互いが自分の取り分を増やしたい思いがあるままなので、利害は一致していない。
「一部だけが一致しているから、ここの部分だけやりましょう」という状態で契約し、その後、もし揉めたときは裁判で解決する。

日本の場合、契約書が後回しだったり、契約書の文言をあまり読まずにハンコを押したり、お互いの利害が一致した前提になってから仕事をする。
だから、利害が一致してなかったり、なんとなく信用の置けない無名な会社だと契約をしない
その代わり、契約した会社とは、未来永劫、一心同体のような関係になる。
大企業や有名企業であることが、大きなステータスとなるのだ。

苦労をとるか、楽をとるか

ビル・ゲイツが、ウィンドウズで世界を席巻できたのは、日本とは真逆のアプローチだった。
当時、IBMが作っていたパソコンにMS-DOSというマイクロソフトが作ったソフトウェアを載せることになった。
マイクロソフトという、聞いたこともないシアトルの会社で、しかも学生がやっている弱小企業と、大企業のIBMがなぜ契約したのか。

それは、実際にプレゼンがうまくいったからだ

ソフトの実物を見せて、「ちゃんと動きますよね。じゃあ、ぜひやりましょう」という判断が下されたのだ。
日本の大企業ならば、目の前でちゃんと動いたとしても、「信用できない」「実績がない」と、空気的な理由をつけて契約されないだろう。
そのような社会なので、僕は学生には「小さな企業で苦労するより、まずは大企業に入ったほうがいい」と言っている。
その努力こそが「1%の努力」だと思うのだが、あなたはどのように感じただろうか?

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。新刊『1%の努力』(ダイヤモンド社)を刊行。
主な著書に、『無敵の思考』『働き方 完全無双』(大和書房)、『論破力』(朝日新書)などがある。