記憶に関する有名な理論に「エビングハウスの忘却曲線理論」というものがある。

 ご存じの人もいるだろう。これはエビングハウスというドイツの心理学者が人間の記憶について研究した成果をまとめた理論だ。

 エビングハウスは、「人は一度記憶したことを時間の経過とともにどのように忘れていくのか」の調査を行なった。結果としては、人は時間の経過とともに右肩下がりで覚えたことを忘れることがわかったが、それ以外にも多くのことがその研究から判明した。

 そのうちの「繰り返し」が記憶にとって重要であることを理由づける根拠となるのは、「復習を重ねるごとに忘れにくくなる」というものと、「一度に記憶するよりも時間をかけて記憶したほうが効率は上がる」という研究結果だ。

 毎日毎日繰り返して覚えることは、復習を重ねて、時間をかけて記憶することにほかならない。

 科学的な見地からいっても、「覚えることを繰り返す」ことが記憶にとってもっとも効果的であることがわかる。

「感情を伴う記憶術」などは
受験勉強の暗記には使えない

 記憶術については、ほかにも方法がある。

 たとえば、脳のイメージを利用するとか、ストーリーを使うとか、さまざまある。

 しかし、私からすると、本当に使える記憶術は「繰り返す」ことだけだと思っている。

 司法試験の受験勉強をしている際、記憶術についてはさまざまな書籍を読みあさって自分なりに研究し実践してみた。

 しかし、いっていることはわかるし、そのとおりなのだが再現性がない、目の前の法律知識の暗記には使えない、というものがほとんどであった。

 たとえば、効果的な記憶術としてよく紹介されているものとして、「感情を伴って記憶した内容は忘れない」という手法がある。

 これは、たとえば、ファーストキスのように特別な感情を伴っていたときの出来事はすべて記憶しているでしょう、というものだ。