今後の世界情勢を考える上で最も重要なことは、国際社会の多極化が加速化していることだ。強力なリーダーシップを持つ国がなくなる、いわゆる「Gゼロ」の鮮明化といえるだろう。その中で、中国の発言力が上昇し、主要国の自国主義が鮮明化するとみる。さらに、テレワークや医療重視など、今後の世界経済の潮流を形成するメガトレンドも出現しつつある。

 感染対策が遅れる日本が、こうした変化にどう対応し、経済の安定を実現できるかはやや不安だ。日本政府は早急に国民の安心を確保し、構造改革を粛々と進める体制を確立しなければならない。それができるか否かで、国際社会におけるわが国の存在感が際立つか、それともかすんでしまうか、将来的に大きな違いが出ることになるだろう。

新型コロナウイルスに対する
世界各国の対応状況

 まず、世界地図を鳥瞰(ちょうかん)して新型コロナウイルスの感染状況を確認する。

 感染・死者数が最多となった米国では、足元でようやく感染拡大が鈍化している。それは、一時的に経済活動を犠牲にし、都市封鎖などによって徹底して人の移動を遮断した効果の表れだ。

 米国に比べ、欧州での感染状況は国ごとに差がある。イタリア、スペインでは感染の拡大が食い止められてきた。

 一方、フランスは感染・死者数を抑えることがいまだに難しい状況のようだ。5月11日からフランス政府は外出制限を緩和する方針だが、慎重に考えるべきだろう。

 アジアに目を移すと、現状、中国、韓国、台湾の感染対策は一定の成果を上げたといえる。共通するのは、早期の検査体制の確立、移動制限の徹底だ。

 台湾はITを駆使してマスクの在庫情報や最新の感染情報を常に人々に提供し、社会心理を落ち着かせた。韓国の文大統領は検査体制を整え、マイナンバーに紐づけられたデータを基に人々の行動履歴把握し、感染拡大を食い止めた。それは、文氏が総選挙を乗り切るためにも重要だった。韓国や台湾ではCDC(米国疾病予防管理センター)のような組織の下、政府の迅速な対策が実施できたことも大きい。

 それに比べ、わが国の対策は遅れた。感染症対策の専門家からは、わが国の対策が後手に回り、PCR検査に至っては“半周遅れ”、“周回遅れ”との指摘もある。

 今後、感染の拡大と検査体制の遅れ、さらには医療の崩壊懸念などからわが国の社会心理が一段と不安定化する展開は軽視できない。