モチベーションファクターの一致が
計画の実現度を高める

 私はモチベーションファクターを、下の表のとおり、牽引志向と調和志向に分けている。リスクを度外視したり、リスクの高いことに果敢にチャレンジしたりすること、また、独自の工夫をしたり、責任を果たすことで意欲が高まる人が「牽引志向」の性質を持っているといえる。逆に、他人と連携し、リスクをカバーし、バランスをとることでモチベーションが上がる人は調和志向だ。どれが良いか悪いかという話ではなく、人それぞれが持っている意欲が高まる要素にすぎない。

 なぜこの2志向、6要素に分けているかというと、このように分けると日本のビジネスパーソンのモチベーションファクターは、だいたい均等になるからだ。

 私の演習参加者の統計では、牽引志向51.4%、調和志向48.6%とだいたい半々だ。自分がどの志向や要素の傾向が強いかがわかれば、日本の平均的なビジネスパーソンと比較したときの自分の性質を捉えることができる。

 自分のモチベーションファクターと、経営計画の実行に必要となるモチベーションファクターが一致していれば、経営計画は実現されやすい。リスクテイクしてチャレンジし(目標達成)、イノベーションを実現し(自律裁量)、事業を拡大する(地位権限)という牽引志向のモチベーションファクターを必要とする経営計画であれば、牽引志向の人が一致しているといえる。

 グループ企業と連携し(他者協調)、リスクをミニマイズし(安定保障)、総合力を発揮する(公私調和)という調和志向のモチベーションファクターを必要とする経営計画であれば、調和志向の人が一致している。