経営計画変更で起こる
モチベーションファクターの不一致

 問題は、経営計画を変更せざるを得ない局面だ。緊急事態宣言下そして、収束後の状況がそれにあたる。新規顧客の獲得から、既存顧客のフォローやメンテナンスへの方針変更は、求めるモチベーションファクターが牽引志向から調和志向に変わることを意味している。

 牽引志向のモチベーションファクターの持ち主は、従来の牽引志向を必要とした方針や方法の場合は、モチベーションファクターが一致していたので、ストレスをためずにスムーズに仕事ができていたはずだ。しかし、方針が変更になり調和志向のモチベーションファクターを必要とするようになった途端に、そのギャップが抵抗感をもたらし、方針を実現する度合いを低下させてしまう。

 そのまま放置しておけばストレスを増幅させ、成果を上げにくくするとともに、本人の能力そのものを低下させてしまいかねない。それほどモチベーションファクターの不一致は、深刻な問題をもたらす。

 このように申し上げると、「自分のモチベーションファクターを変えればよいだけではないか」「方針に従え、会社の考え方にアラインしろといつも言っている」という声をよく聞く。しかし20年来、演習を実施し企業をサポートしてきたが、自分のモチベーションファクターは、環境や職務の変更により多少は変わることはあっても、根本的には大きく変わらない。しかし、方法はある。

異なるモチベーションファクターをつなぐ
動機付けやプロセス設定がカギ

 自分のモチベーションファクターと、自分のそれとは異なる経営方針のモチベーションファクターをつなぐブリッジを組み込んで、動機付けやプロセス設定をすればよいのだ。例えば、自律裁量のモチベーションファクターを持っているという人が、安定保障の方針を実現する場合には、独自の工夫を盛り込んで(自律裁量)、リスクを回避する(安定保障)というように動機付けをする。

 動機付けに加えて、業務プロセスに落とし込むとさらに実現度が上がる。例えば、自らアイデアを出す(自律裁量)、会議を招集する(他者協調)、会議でアイデアを共有する(他者協調)、最も効果のある方法を合議する(他者協調)、それぞれで工夫しながら実行する(自律裁量)というように、自分のモチベーションファクターと経営方針のモチベーションファクターの両方が必要な業務を、プロセスの中に設定するのだ。それも交互に入り込むと、なおよい。

 これができると、自分と経営方針の両方のモチベーションファクターが発揮できるようになり、実行度が高まる。経営方針の変更を余儀なくされたとしても、タイムラグを小さくすることができる。

 この方法は、経営方針の変更のケースのみならず、企業理念や企業文化を浸透させたい、改革や中期経営計画の実現度を高めたいという場合にも有効だ。実現したい到達地点の姿に必要なモチベーションファクターと、現在の自分や組織のモチベーションファクターとのギャップを見極めて、そのギャップをつなぐ動機付けやプロセスを設定することで、停滞することなく目標の実現へと行動し始めることができる。