「理想的な介護」よりも「介護者が余裕を持てる介護」を意識する
最後に、介護をされている皆さんにお伝えしたいことがあります。
マスコミでも報道されているように、この状況が長期化する可能性は否定できません。非常事態宣言が解除された後も、病院や施設は集団感染への対応が求められますし、コロナ禍の影響で倒産した介護事業所も出ています。要介護者はもちろん、介護者への負担は増していくことでしょう。
ましてや介護者は、コロナ禍が起きる前から自分の時間を削って頑張っている人がほとんどで、慢性的な疲労や寝不足が重なっています。
長期戦を乗り越えるためには、「ちゃんとしなければ!」「私が守らなければ!」と気を張り続けて緊張状態の身体と心を休息させることが必要です。休息と補給がないまま自分を追い込む状況が続けば、どんな強靭な精神の持ち主でも持ちません。介護は、努力や根性といった精神論でできるものではないからです。
しかし、真面目な人ほど「自分は、正しい対応ができていない」と、ご自身が取り組まれていることを過小評価されています。介護の相談を受けるたびに、とても残念に思うことの一つです。
「ちゃんとできない」と自分を責めたくなった時には、「本当は〇〇してあげたいけど、今は余裕がなくてできない。辛いな」「理想的なことはできていなくて辛いけれど、今の自分も十分やっている」と、自分への労いの言葉をかけてあげてください。