「帰りたい!」と言い出したときの2つの方法

1)オウム返しをする

相手の言葉をそのまま返す「オウム返し」は、十分効果があります。

「家に帰りたい!」と言われたら「家に帰りたいのですね」、「早く帰して!」と言われたら
「早く帰りたいのですね」といった感じです。

もし気持ちに余裕があれば「そっかー。家に帰りたいのですね」「なるほど、早く帰りたいのですね」など感嘆詞をつけると「わかってもらえた感」が伝わる効果もあるのでぜひ試してみてください。

別に他のことを考えていてもいいのです。介護者が焦ったり、イライラするより、他のことを考えながら余裕を持ってカラ相槌を打ったり、オウム返しをしたりする方が、帰って相手は安心することも多いのです。

伝わりやすい言葉には個人差があるので、要介護者に届きやすい言葉を普段の会話から見つけてみてくださいね。

優しい気持ちを込めなければ、と何度も繰り返していると、介護側の心が消耗していきます。機械的に繰り返すつもりでやってみてください。

2)目的を聞く

「いますぐ帰りたい!」という言葉には、必ず理由や目的があります。「すぐに帰らなければいけない理由は何ですか? 教えてください」と聞いてみましょう。質問が刺激になって、衝動性が緩むことがあるのです。

ご主人は亡くなっているのに「お父さんが待っているから」と話されたり、10年以上一人暮らしなのに「子どもたちのご飯を作らなければいけないから」と現実にそぐわない話になるかもしれませんが。話題が変わり、興奮が少しでも緩むことができれば、効果があった証拠です。

話の内容については否定せず、「そっかそっか、だから帰りたいのですね」とオウム返しに戻りましょう。

さらに「お子さんがいらっしゃるのね。何歳なの?」「お父さんは厳しい人なのね。どんな人かしら?」突っ込んで聞くと、「帰りたい!」欲求が緩んで意識がそれ、話題が弾むことがあります。

何度も言いますが、認知症の方が「帰りたい!」と不安がる状態を、「自分の責任だ」と思わないことです。「帰りたい!」という気持ちになるのは、認知症の症状による影響です。介護者の責任ではありません。

認知症の人の不安を軽減するには、「周りの介護者がリラックスできている」ことが最も良いクスリなのです