でも、私としては知識のストック量よりも、回転スピードのほうが重要だと考えています。「知識を出しては入れる」という回転力こそ大事なのです。

 たとえるなら、お客さんが多くて混雑しているコンビニが近いかもしれません。

 以前テレビで、東京駅構内のコンビニに密着したドキュメンタリー番組を観ました。

 そのコンビニでは、深夜のうちに、おにぎりやパン、お弁当を陳列して開店に備えるのですが、開店直後から出張族のサラリーマンや行楽客などが次々と押し寄せ、あっという間に陳列棚から商品が消えます。

 そのため商品をこまめに補充していくのですが、お客さんも終日とぎれることなく大勢来店します。

 稀に商品棚の裏側からおにぎりを補充するスタッフの手に、おにぎりをとろうとするお客さんの手が触れてしまい、お客さんがビックリすることがあるともいいます。

 忙しいコンビニの目まぐるしい商品回転のように、自分の中に知識が入ったそばから出していく。あるいは、知識を出すために大急ぎで仕入れる。こうした「知の回転力」を高める感覚を身につけることがポイントです。

 多くの人は、この知識を回転させるという意識が不足しているのではないでしょうか。

 コンビニにたとえれば、陳列された商品が売れないまま、うっすらホコリをかぶっているような状態です。

 これでは、さらに商品(知識)を補充しようとしても並べられませんし、そもそも意欲が損なわれます。

 そこで回転重視に意識を切り替え、陳列する商品(知識)自体は少なくても、とにかくお客さんに手渡す(アウトプットする)ことに力を入れます。

 売り切ってしまえば、商品の補充にも力が入ります。陳列した商品が次々にはけていくとなると、商売そのものが楽しくなってくるでしょう。

 理想とするのは、まさにこの状態です。つまり、とにかくアウトプットを優先するということが大前提なのです。

著書700冊の齋藤孝先生は、なぜこんなにたくさんアウトプットできるのか?