眼鏡,コンタクト,コロナ写真はイメージです Photo:PIXTA

 COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染経路の一つに、目の結膜があげられている。SNSでは「眼鏡で感染阻止!」等の噂が飛び交ったが、実際はどうなのだろう。

 日本眼科学会と日本眼科医会は連名で「汚染された手で眼を触ったりこすったりすると、ウイルスに感染する可能性がある」とし、コンタクトレンズ(以下CL)使用者は、CLを装用、はずす前後で十分に手を洗い、CLとレンズケース(以下ケース)を清潔に保つよう呼びかけている。

 一方、眼鏡については「側面や上下の隙間からウイルスが侵入する可能性」と「眼鏡に触れて汚染された手で眼をこすり、かえって感染リスクが高まる可能性」を指摘している。

 カナダの眼科学者らは、COVID-19とCLおよび眼鏡に関する啓発資料を作成、公開している。それによると、

(1)CLを使い続けても問題はありません──現時点で、CLの利用者が眼鏡利用者より感染しやすいという証拠はない。何か異常が生じたら、眼科医に相談すること。

(2)適切な衛生習慣が大切です──徹底した手指衛生(洗浄、乾燥)とCLの正しい手入れ、装用、ケースの衛生が不可欠。眼鏡は定期的にせっけんと水で洗浄する。

(3)普通の眼鏡ではCOVID-19感染は防げません──眼鏡で感染防御ができるという証拠はなく、CDC(米国疾病対策予防センター)も否定している。

(4)洗っていない手を眼や顔に近づけてはいけません──CL、眼鏡、視力矯正を必要とするしないにかかわらず、汚染された手で顔や眼、鼻を触らないように。

(5)もし感染した場合は、CLの使用を一時中止し、眼鏡をかけましょう──健康になったら眼科医と相談したうえで、新しいCLとケースに交換し使用を再開できる。

 CDCも、4月8日付でCL装用に関するガイダンスを公表しているが、ほぼ同じ内容だ。

 ようは手指衛生と眼鏡、CLの扱いが感染リスクを左右するわけ。特にCLの方は清潔操作を徹底しよう。ついでに普通の結膜炎や感染性角膜炎も予防できる。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)