老舗アパレルのレナウンが民事再生手続きに入り経営破綻した。レナウンの破綻をめぐっては新型コロナウイルスの影響、EC(電子商取引)事業への出遅れ、さらに中国の山東如意科技集団見限り説など諸説ある。しかし、真因は別にある。(流通ジャーナリスト 森山真二)
レナウンを
“経営破綻の淵”に追い詰めた百貨店業界
レナウンの経営破綻については、「中国企業の傘下に入って以降の経営の混乱」や「EC(電子商取引)の出遅れ」が原因という説が目立っている。
もちろん、それは正しいし、直接的にはレナウンの53%の株を保有している山東如意の香港子会社から売掛金53億円を回収できず、山東如意自らが苦境に陥る中で、レナウンを踏み台にして経営破綻の引き金を引いたからだろう。
しかし、レナウンの経営破綻の“真因”はもっと別のところにある。
実は、レナウンを真綿で首を絞めるようにして“経営破綻の淵”に追い詰めていったのは、言うまでもない。百貨店業界なのだ。
「どんなもの持ってきてくれたの。これ、あまり売れないんじゃない。まあ、いいや。検討するから」
ある日の百貨店バイヤーと大手アパレルの担当者とのやり取りだ。