なぜ、イスラーム教は世界に普及したか
イスラーム教は不思議な宗教で、専従者がいません。
お坊さんがいない宗教なのです。
ただ、イスラーム教は商人がつくった宗教なので、みんなひたすら商売に励むのです。
アフリカやアジアにイスラーム教の人たちが多いのは、理由があります。
アフリカの場合、アッバース朝のカリフであったマンスール(714~775)が、何にもないところにバグダードという100万都市をつくろうと考えました。
あのあたりは砂しかありませんから、100万都市をつくろうと思ったら木材がたくさん要るのです。
それで東アフリカに木材を買いに行った。
山から木を切って売ったら、いくらでもお金をくれるではないですか。
こんなおいしい話はないということで、この人たちはいつも「アッラーフ」といって拝んでいる。自分たちも「アッラーフ」といって拝んだら、もっと木材を買ってくれるかもしれないと思い、マネしてみたということです。アジアも同じです。
これが、イスラーム教が全世界に普及していった一番の理由です。
また、イスラーム教は、入信儀式がものすごく簡単です。
神様はアッラーフである、ムハンマドはアッラーフの「最後の預言者」である。「この2つを信じますか?」といわれ、「はい」といったら、もうそれでOKなのです。
簡単でしょう?
だから、入信しやすく、商売で儲かるというのが、イスラーム教がここまで大きくなった一番の理由でしょう。
続きは次回にしましょう。
過去の僕の『哲学と宗教全史』全連載は「連載バックナンバー」にありますので、ぜひご覧いただき、楽しんでいただけたらと思います。