【その3】部下の「今後に向けた不安」を
どう解消すべきか

 緊急事態宣言の発令前から在宅勤務に突入し、そのまま在宅勤務が長期化している企業も少なくない。多くの人たちにとって、ここまで長くテレワークが続くのは想定外だっただろう。そんな中で、最近目立って増えてきたのがこの悩みだ。

 突然のように始まった在宅勤務。最初は「どうやって仕事を進めればよいか」という目前の課題に、緊張感を持ち、集中して当たれていた。しかし、在宅勤務期間が続き、状況に慣れてくると、ある程度余裕も出てくる。そうなると「業界は、会社は、仕事はこの先どうなるんだろう……」といった漠然とした不安が生まれてくる。そして、そんな気持ちに共感してくれる同僚との会話もないまま、不安は増大していく。これが現状である。

 この問題は、上司の対応によって軽減、解消できる。やるべきことは2つある。1つは、オーバーワーク対策のところでも出てきた「共感的に聞く」ことだ。まずは、将来に対する不安を、そのまま受け止める。週に1度、マンツーマンの話し合いの中で「いま不安に思うことはどんなこと?」と聞いてみるとよい。会話の中では、アドバイスよりも共感的に聞くことに重きを置く。部下は、話を聞いてもらえることで自浄作用が働く。

 もう1つは、「将来に対する不安を、将来を考える機会に変える」ことだ。職場で業務に忙殺されている中で、将来のことを考えるのは難しい。しかし、テレワーク環境ではそういったことを考える時間も作りやすい。

 部下に考えさせたい将来のテーマは「仕事の企画」と「キャリア」だ。仕事の企画に関しては、「事態が収束したらやってみたい企画を3つ考える」といった宿題を出してみるのもよいだろう。実際に「職場の出口戦略」として採用できるものが出てくるかもしれない。

 キャリアを考えることについては、上司が質問でナビゲートするとよい。マンツーマンの話し合いの場で、「将来どんなふうになっていきたいか?」「そのために必要な能力は何か?」「どうやってその能力を身につけていけばよいと思うか?」といった質問をしながら、部下に考えさせる。部下の中には、即答が苦手なタイプもいるため、事前に趣旨を説明した上で「予習」させておくのも効果的だ。

 上記のほかにも、不安軽減のためには、定期的にチームメンバーでオンライン雑談ミーティングをするのもよい。「自分だけでなく、みんな不安なのだ」ということがわかるだけでも、癒やされる。

 コロナ禍が収束しても、テレワークがなくなるわけではない。むしろ、今回のことをきっかけにテレワークという働き方が定着し、さらに増えていくと予想される。テレワーク環境で、部下をうまくマネジメントできることが、これからの時代の管理職の重要な要件になってくる。

株式会社ヒューマンテック代表取締役 濱田秀彦)