米国の防衛・安保の
重要なサプライヤー

ソニーの吉田憲一郎社長とマイクロソフトのサティア・ナデラCEO
2019年5月に包括的な戦略提携を発表し、がっちりと握手するソニーの吉田憲一郎社長(左)とマイクロソフトのサティア・ナデラCEO(右) Photo:Microsoft

 マイクロソフトには、ファーウェイのような中国企業や中国政府から見て、決して無視できない側面がある。米国の政府調達の重要なサプライヤーであることだ。特に国防総省(ペンタゴン)や国土安全保障省、軍といった防衛や安全保障に関わる部門で主力サプライヤーとして貢献してきた。

 マイクロソフトが獲得した政府調達額は直近年度で、21億ドル(約2255億円)近くに上っている(下表参照)。近年は国防総省の超巨大クラウド構築事業、JEDI(Joint Enterprise Defense Infrastructure、予算総額1兆円以上)を巡って、米アマゾン・ドット・コムと熾烈な戦いを繰り広げていることも話題だ。

 このマイクロソフトとソニーは今後、深く広く協業していく公算が大きい。両社は昨年5月に戦略提携を結んでおり、今回の半導体を巡る協業はその包括的な戦略提携の一環。製品の売り切りからリカーリング(継続課金)ビジネスに移行したいソニー、自社のAIクラウドを補完するインテリジェントなエッジ(賢い端末)が欲しいマイクロソフト――互いの需要が合致し、ゲーム市場での長年のライバル企業が手を結んだ。昨年5月に公開されたソニーの吉田憲一郎社長とマイクロソフトのサティア・ナデラCEO(最高経営責任者)が握手する写真が、両社の蜜月を象徴している。

 つまり両社の協業関係が今後一層深まれば、ソニーが米国政府の間接的なサプライヤーになる可能性が否定できない。

 誤解のないように指摘しておくと、今回のスマートカメラ事業について、ソニーとマイクロソフトはどちらも、販売先を一般企業と想定していると答えている。その上で今、「可能性」を指摘せざるを得ないのは、米国が政府調達や産業界のサプライチェーンに対し、非常に厳格な姿勢を示しているという時勢があるからだ。