一方、米国やイタリアなど欧米諸国は、ウイルスの到来を水際で防ごうと2月1日より中国からの渡航を全面的に禁止した。これによって、K型の流入は大きく制限されることになった。また、2月1日以前に広がっていたS型はすでにかなり蔓延していたが、S型の「細胞性免疫」は、G型の感染を予防する能力に乏しかった。

 S型への抗体には「抗体依存性感染増強(ADE)」効果がある。それは、以前感染したウイルスに対して成立した免疫が、次に感染したウイルスの重症化を引き起こすことである。これは、同じコロナウイルスのSARSで起こった現象である。上久保氏らは、致死率を計算する方程式をつくり、G型に感染した際に致死率を上げてしまうのは、S型に感染した履歴であることを明らかにした。

 具体的には、ADEが起こるとウイルスの増殖が盛んになり、患者のウイルス排泄量が増える。すなわち「スーパースプレッダー」になる。さらに、大量に増えたウイルスに対して過剰な免疫反応が起こると、ウイルスのみならず身体の組織を攻撃し、重度の呼吸不全や多臓器不全等を引き起こすため、死に至ってしまうということだった。

 要するに、「S型への抗体によるADE」と「K型への細胞性免疫による感染予防が起こらなかったこと」の組み合わせによって、欧米諸国ではG型感染の重症化が起こり、致死率が上がってしまったということだ。

 上久保氏らは、ADEが重症化の原因と分かったことから、今後どんな患者に重症化のリスクがあるかが推定できると主張する。具体的には、妊婦、妊婦から抗体を受け取る新生児、免疫系の発達が未熟な幼児、そして免疫系が衰えた高齢者である。また、集団免疫を獲得する機会を得られなかった病院内で感染リスクが高く、「院内感染」対策が最重要であるとも指摘する。

「集団免疫」の獲得と
第二波の有無について重要な指摘

 上久保氏らは新型コロナウイルスに関して、国民が強い関心を寄せる2つのことに対して重要な指摘をしている。

 まず「集団免疫」の獲得についてであり、特に、全世界的に検討がなされている「免疫パスポート」について重要な問題点を述べている。

 K型への細胞性免疫が成立した場合、後に続くG型ウイルスの感染が予防される。すなわちG型ウイルスの感染が成立しないのだ。言い換えれば、「感染が成立しないからこそ、G型ウイルスに対する抗体が産生されにくい」ということだ。

 これは逆に言えば、G型に対する抗体の有無を検査する際に、K型への細胞性免疫獲得の有無を検証しなければならないことを示唆している。しかし、現在はほとんど細胞性免疫が獲得されているかどうかの検証がなされていないという。