しかし、この悪循環がコロナ禍をきっかけに断ち切られるかもしれない。「3密を避ける」という新しい生活様式が普及したことで、旅行やレジャー先として「自然」を求める人々が増えているからだ。

 6月1日、JTBとJTB総合研究所が発表した『新型コロナウイルス感染拡大による、暮らしや心の変化および旅行再開に向けての意識調査(2020)』によれば、「すぐ行きたい」旅行についての質問で、「知人訪問 (24.4%)」の次に多かったのが、「自然が多い」(19.3%)だった。

 この調査を裏付けるのが、キャンプ場の盛況ぶりだ。実際、首都圏の有名キャンプ場に問い合わせたところ、6月の週末はすべて予約でいっぱい。7月も非常に混み合っているという。近年のキャンプ人気に、コロナ禍による自然志向でさらに拍車がかかっている状況なのだ。

 こうなってくると、各地で「自然体験ツアー」の整備も進んでいくことは言うまでもない。大自然の中でのトレッキングや、星空を見るツアー、さらにラフティングやカヌーなどが、これまで以上に人気になっていくはずだ。

 そのように整備をされて利用環境が向上すれば、当然、外国人観光客の耳にも届く。中国人観光客にも「モノ消費からコト消費へ」というトレンドがあるのだから、「日本観光はコロナ感染の恐れもなく、雄大な自然を満喫できるツアーが大人気」という流れが、一気にくる可能性もあるのだ。

「観光客に自然を破壊される」は
日本にとって杞憂に過ぎない

 という話を聞くと、「外国人観光客が押し寄せて自然が破壊される!」と大騒ぎをする人がいるが、すでに日本各地の自然は整備する費用がなく、荒れ放題に荒れている。日本各地で、熊が人間の生活圏にまで下りてきているのがその証左だ。

「エコツーリズム」という概念があるように、本来は海外のナショナルパークのように、観光客から高い入場料をとって、そのお金を自然保護の整備費や人件費にまわさなくてはいけない。しかし、日本の自然保護は税金に依存しているので、財政難になると真っ先に削られる。このあたりの問題は、数百円の安い拝観料を徴収するだけで、国からのカネも削られてボロボロになっている国宝や重要文化財もまったく同じだ。