一方、中国は長年実施した「一人っ子政策」のひずみで、少子高齢化が急速に進んでいる。現在60歳以上の高齢者が2.4億人で、全人口の16.8%を占めている。中国の中で高齢者人口率が一番高い上海の最新統計では、上海市の戸籍で60歳以上の高齢者が518万人で、総人口(全市の戸籍人口1471万人)の35%を占めている。一人暮らしや老夫婦のみの「純老家庭」も、高齢者世帯の7割以上となっている。

 データから見れば、日本のように「孤独死」が頻繁に起きてもおかしくないが、実際はそれほど起きていない。それはなぜだろう。

 その理由は、政府の高齢者対策、そして、生活習慣、文化、国民性などさまざまな要素が絡んでいるからだと考えられる。

近年、注目されている
「互助ネットワークシステム」という取り組み

 中国は、経済発展とそれに伴う大規模な都市開発がなされたため、地縁社会が崩壊した。昔の街並みや生活様式は大きく変わった。高層マンションが立ち並ぶ中、人間関係が希薄となっていき、隣人の正体が分からないという状況だ。

 そのため、政府はコミュニティーの建設と整備をスピーディに進めている。特に政府の最末端組織でありながら、住民の生活に最も身近な存在である「居民委員会」は、管轄の区域で一人暮らしの高齢者世帯の見守りについて、特に重点を置いている。

 その中で、近年、注目されているのが、「互助ネットワークシステム」という取り組みだ。

互助ネットワークのボランティアが一人暮らしの高齢者の自宅に訪問時の様子互助ネットワークのボランティアが一人暮らしの高齢者の自宅を訪問 写真:筆者の友人提供

 これは、2018年に上海市政府が作り上げた「Support for Informal Caregiver(非正式サポートケア)システム(在宅の高齢者に対して、専門的スタッフではなく、親族や隣人、ボランティアが生活をサポート)」の一環として、コミュニティーの住民同士で後期高齢者に対して行っている。電話による安否確認や家庭訪問などを行い、日常生活を支える仕組みとなっている。

 1人の前期高齢者が、5~6人の一人暮らしの後期高齢者を担当する。政府が定期的にサービスを行う側に専門的な研修や教育を実施している。

高齢者を対象とする
「老年大学(高齢者大学)」が充実

 また、高齢者が家に閉じ籠らないように、高齢者を対象とする教育機関「老年大学(高齢者大学)」が充実している。