老年大学の書道教室老年大学の書道教室  写真:筆者撮影

 上海市の場合、市立と区立を合わせて約300校があり、50万人が通っている。これらの大学は政府直轄で運営されているため、だれでも安い学費で入学できる。開設されている科目は多様多種だ。

 保健科(漢方学基礎、鍼灸、黄帝内経、太極拳、ヨガなど)、文化科(小説・戯曲観賞、ブリッジ、朗読、作詞など)、書画科(書道、彫刻、油絵、水墨画など)、また家政科や楽器科、パソコン・スマホのIT科など、約10以上の科、100以上の専門がある。

 教師は老年大学専属の職員もいれば、外部から来る講師もいる。筆者は数回見学したことがあるが、どこも校舎が広々としていて、授業も本格的でレベルが高く、学生たちが楽しみながら真剣に学ぶ姿勢がとても印象的だった。

公園はまるで「野外レクリエーションセンター」
高齢者たちが太極拳や広場ダンスを

 こうした政府の施策のほか、生活習慣や文化も関係している。

公園内でカラオケを楽しむ高齢者公園内でカラオケを楽しむ高齢者 写真:筆者撮影

 例えば、日本でもおなじみの中国の朝の公園の風景。大勢の高齢者が太極拳や体操をしたり、ダンスを踊ったり、カラオケを歌ったり、ベンチでおしゃべりしたりしている。公園はさながら「野外レクリエーションセンター」のようだ。

公園内で自分が飼っている小鳥を披露し合う高齢者公園内で自分が飼っている小鳥を披露し合う 写真:筆者撮影

 日本のように介護保険などが完備されていない中国の高齢者が、このように自発的な活動をしているということは、「政府ばかりには頼れない」「自分の健康は自分で守るしかない」という自助意識の表れであるといえる。

 そして、近年、すっかり「名物」となった「広場ダンス」。公園、緑地、広場、歩道などの公共スペースで、中高年の女性たち(最近男性も増えてきた)が集まり、音楽に合わせてダンスをする光景が中国の各地で見られる。

公園のベンチでおしゃべりに夢中な高齢者公園のベンチでおしゃべりに夢中の高齢者 写真:筆者撮影

 一時は「迷惑行為」と非難されたが、集団で時間を共有することに大きな意義がある。最近では「広場ダンス」は徐々に理解され、多くの人々に受け入れられるようになってきた。

 そして、日本と同様に、中国は「一人っ子政策」の影響で、今や核家族が当たり前となっている。