スープが冷めない距離で
住まいを構える親子

 とはいえ、「家族を大事にする」という中国の伝統的な考え方はまだまだ根強く、親と子は「スープの冷めない距離」で住まいを構えるケースが非常に多い。

 たとえ、遠くに住んでいる場合でも、ビデオ通話などを利用し、親と子や親族間のやりとりは頻繁に行っている。また、中国では定年退職後(中国はほぼ100%共働きである)の第2の人生は、「孫の面倒を見ることから始まる」という人が全体の5割以上を占めるという統計がある。子ども夫婦が共働きで忙しく、幼稚園に入園できる3歳になるまで世話を任されることが多いからだ。

 今の高齢者は、孫は特別愛しく感じている。日本の高齢者から見れば、孫をずっと預かることは考えられないが、中国は喜んで「育ジジ、育ババ」の役割を担い、それを「生きがい」と感じている人も多い。

 孫の面倒をどちらが見るかで、双方の祖父母が争うこともしばしば。中国の小中学校の校門の前が「ジジ、ババ」であふれるのも日常的な光景となっている。

 またコロナ休校中は、オンライン授業の付き合いをしたり、孫の食事を作る高齢者も多く、皆、倒れそうになるくらい多忙だったと聞く。

公園などで株談義に
熱をあげる高齢者

公園での株談義公園での株談義 写真:筆者撮影

 また、意外と知られていないが、中国では、株式投資に熱を入れる高齢者が多い。

「お小遣いを稼ぐ程度」と本人たちは言うが、公園や街の中の緑地など、「株コーナー(株の情報交換)」と呼ばれる一角があちこちにある。たくさんの高齢者が集まってきて、「どの銘柄が良いのか、買うか売るか」について熱く語ったり、言い合ったりしている。

 他人が買っている銘柄にも平気で口を出す。まるでアナリストのように詳しい人も珍しくない。

 街角で、マージャンに夢中になっている高齢者も多い。マージャンや株は、「脳の運動になり、ボケない」といわれる。その上、人とのつながりもできるため、認知症予防の一番の薬になっているのかもしれない。

マージャンが好きな高齢者は多いマージャンが好きな高齢者は多い 写真:筆者撮影

 中国人は、コミュニケーションを積極的に取ろうとする人が多いが、日本人は一般的に見知らぬ人にはあまり積極的に話しかけたり、関わったりはしない(当然、人によって大きく異なるが…)。日本人の奥ゆかしい国民性は誇れるが、人間関係で我慢しているようならば、それはもったいない。

 今回取り上げたのは、あくまでも「都市部の高齢者」の日常だ。同じ中国でも農村部になると、まったく状況が変わってしまう。機会があれば紹介したいと思う。