巨石にかけた綱を前方の引き手が引っ張り、後ろからは「手子木棒《てこぎぼう》」と呼ばれる丸太を使って巨石を押し出すのですが、その際、「ころ」の滑りを良くするため、水に浸してふやかしておいた「あらめ(昆布)」を、進行方向に敷きつめたのです。

昆布蒸し
【材料】出汁昆布…15cm程度/おぼろ昆布…適量/豆腐…1/4丁/白身魚…1切れ/帆立貝柱…1個
【作り方】①出汁昆布は両面を水でぬらして蒸し器に敷く。②豆腐、白身魚、帆立貝柱におぼろ昆布を巻き、1の上に乗せて15分程度蒸す。
※お好みでポン酢、醤油などでいただく

 大坂城築城の際の言い伝えでは、潤滑油代わりに使った昆布が土の上で乾燥し、それを再利用するのに醤油で煮たところ、思いのほかおいしかったため、「昆布文化」が生まれた…という説もあるそうですが、縄文時代末期に中国から伝わったとされる、昆布食の長い歴史を鑑みると、それでは遅すぎるような気もします。

 昆布が初めて我が国の文献に登場したのは、平安時代初期の歴史書『続日本紀《しょくにほんぎ》』で、715年(霊亀元年)に「蝦夷《えぞ》の須賀君古麻比留が、先祖以来、朝廷に昆布を献上し続けているが、国府への往復に何十日もかかり、苦労が絶えない」といったことが書かれています。

松前漬け
【材料】出汁昆布…10cm/するめ…10cm/人参…50g/酒…50ml/水…50ml/みりん…大さじ3/酢…大さじ1/醤油…大さじ3
【作り方】①出汁昆布とするめはできるだけ細く切り、人参は皮をむいて千切りにする。②鍋に酒、水、みりん、酢、醤油を入れて火にかけ、アルコール分を飛ばす。③冷ました2に1を入れて混ぜ、冷蔵庫で半日以上漬ける。

 また、陸奥の国(青森県)からの税金として昆布が納められていたという記述が、平安時代に編纂された『延喜式《えんぎしき》』に残っています。

 日本では、北海道と東北地方でしか採れないため、昆布は古くから貴重な交易品でした。

 鎌倉時代になると、松前(北海道)と北陸とを結ぶ航路が開発され、そこからさらに航路をのばして、昆布は琵琶湖から京の都に運ばれました。

 盛んな交易で、庶民が昆布を口にできるようになったのは、鎌倉末期頃のことです。