米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」の注目記事の要点を短時間でまとめ読みできてしまう『WSJ3分解説』。今回は、在宅勤務の増加で利用者が爆発的に増えている米Zoomで、セキュリティーに関する不安が再燃しているニュースを取り上げます。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
Zoomで再燃した
セキュリティー不安
新型コロナウイルスの感染拡大によって在宅勤務が広がり、全世界で利用者が爆発的に増えた米ビデオ会議ツール「Zoom」。コロナ禍以前では1日のユーザー数は世界で約1000万人でしたが、今では実に20倍の1日2億人にまで伸びています。
日本では緊急事態宣言が解除されても、多くの企業が在宅勤務を続ける傾向にあり、これからも利用者は増える可能性があります。
そんなZoomで、セキュリティーやプライバシーに関する懸念が持ち上がっています。きっかけとなったのは、米国を拠点に活動する人権擁護団体「ヒューマニタリアン・チャイナ(人道主義中国)」が開催した天安門事件に関するビデオ会議でした。
●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より
>>ズームが天安門関連会議を遮断、中国巡る疑念再び
米有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)によれば、6月7日に人道主義中国が自分たちのアカウントにアクセスしようとしたところ、「何の通知や説明もなく閉鎖されていた」というのです。これが他のネットメディアで話題になると、「ズームはひそかに10日にアカウントを復活させた」。
記事では、Zoomの広報担当者は「『他のグローバル企業と同様に』現地の法律を順守する必要があるとして、アカウント閉鎖は正当との立場を表明。『複数の国で会議が開催されれば、参加者はそれぞれの国の法律に従うよう義務づけられている』と述べた」と報じられています。
しかし、「ズームは人道主義中国のアカウントが、現地の法律に違反しているといつどうやって判断したのか」(WSJ)という疑問は依然として残ります。「中国政府による監視を巡りユーザーの間で懸念が高まっている」(WSJ)というのも当然でしょう。
人道主義中国がすでに求めているように、Zoomはユーザーのアカウント情報を、ユーザーの同意なしに中国当局に渡していないかという点について、答えるべきでしょう。