繁忙期の東京で見られた
外国人流出、日本人流入の明暗
不動産業界では2月、3月を繁忙期と言う。日本では学校も会社も年度単位で期を分ける組織が多く、3月末に引っ越す人が多いからだ。この時期の取引は通常月の2倍になるので、不動産屋は忙しい。この時期の流入超過人口により、都市は人口が増え続けていると言っても過言ではない。
流入人口と言っても、最近では日本人だけでなく、外国人も多い。都区部ではおおよそ、流入人口の3分の1は外国人となっている。しかし、シェアが大きくなった外国人の流入は、緊急事態宣言以降の4月、5月に大量流出に変わった。
外国人は永住者を除き、1年ごとに更新する在留資格が必要になる。在留資格は技能実習と留学が多いが、技能実習は実際に仕事をしているし、留学生もアルバイトなどをしている。自粛はこうした人たちから仕事の機会と収入を減らし、日本に居られなくなる人を増やした。
これに対して、日本人は繁忙期に予定通り流入した。「予定通り」というのは、1年以上前の有効求人倍率で決まっていたからだ。2020年4月入社の大卒就職率が98%に及んだように、大企業の採用人数は1~2年前の景気に連動する。コロナによる緊急事態宣言は4月7日だったので、この前に就職先が決まっている人は東京へやってきたわけだ。
流入人口がゼロになると、東京の人口は減少してしまう。なぜなら、生まれる人よりも亡くなる人のほうがすでに多いからだ。しかし、東京の人口が戦後マイナスになったことはない。流入人口が常に多かったからだ。