

今後の開発においても、アンドロイド陣営各社はiPhoneと似ていない製品を作ることを求められる。iPhoneの完成度が高いだけに、これを凌いで「使い勝手の良さと美しさ」を併せ持つ製品を開発していくのは容易ではないだろう。しかし、こうしたイノベーションは消費者にとってはたいへん有益なことである。
グーグルは今回の判決について沈黙を守っているが、心中は穏やかではないはずだ。スマートフォンのOSで68%という高いシェアを取ったものの、他社のノウハウを盗み、それを「タダ」で提供して、勢力の拡大を図ったとのレッテルを貼られるのを恐れているだろう。アップルはすでにグーグルが買収したモトローラ・モビリティーと、アンドロイドを最初に製品化した台湾企業HTCを特許侵害で訴えている。
グーグルのシュミット会長は2006年から2009年までアップル社の取締役に就任していた経緯がある。同会長が辞任を申し出た理由が、グーグルがアンドロイドや、ブラウザのクロームを開発したことで、アップルとますます競合関係に立ってしまったのが申し出の理由だった。iPhoneの登場が2007年だから、微妙な時期に取締役を兼任していたことになる。
アップルは現在のところ、グーグルそのものを訴える動きには出ていないが、もし両社が訴訟合戦を始めれば、アンドロイド陣営を離れるメーカーが続出するかもしれない。
今回の判決は、マイクロソフトとノキアには追い風となった。マイクロソフトは長年に渡って携帯用のウインドウズOSを提供してきたが大きなシェアを取れなかった。ノキアは世界最大の携帯電話機メーカーであるが、スマートフォンに押されて業績を急速に悪化させている。両社は最近、ノキアの電話機のノウハウとウインドウズOSを組み合わせて一大勢力になるべく業務提携をした。アップル、アンドロイドの手強いライバルとして登場する可能性がある。
日本の家電メーカーはどう対応すれば良いのか?まずは自社がiPhoneに良く似た製品を出していないかを点検する必要がある。日本の携帯電話機メーカーは、サムスンと異なり、日本人に好まれる製品しか作っていないので、訴追されるリスクは低いように思うが。