2010年の再生可能エネルギーによる発電は発電電力量の9.7%で、そのうち8.5%が水力による発電である。水力以外の再生可能エネルギーは2010年の1.2%から、あと18年で10倍、20倍に増やす必要がある。そのための対策として、例えばゼロシナリオでは、現在設置不可能な住戸も改築して太陽光パネルの設置を進め、1200万戸に導入するとしている。

 さらに、固定買取価格を高水準にすることも考えられているようだ。発電コストの高い再生可能エネルギーの比率が過剰であることにより、発電コスト、電気代に大きな上昇が見込まれている。「経済的見込みが重くなってでも導入を促進」の一言で片づけられるものではない。

 精緻に積み上げられた再エネ開発計画があるわけではないうえ、需要家サイドの発電設備投資に一定の想定を置いているという意味では、従来の意味での「計画」と言える代物ではない。「気合の目標」とも言える再生可能エネルギー導入「期待値」にどの程度実現の可能性があるのか。またそれが実現できなければ、不足する電力供給を誰が埋める責任を持つのか。こうした本質的な点は議論の対象になっていない。

エネルギー政策と温暖化対策の混同

 エネルギー政策を優先して考える際に、原子力に替わるのは量と安定供給、経済性の面からみても火力であり、再生可能エネルギーではない。温暖化対策を優先して考える際に、初めて再生可能エネルギーを火力に優先して検討する必要がでてくる。エネルギー政策と温暖化対策の関係を混同してはならない。この違いを認識しておかないと、政策目的を見失ってしまうのである。

 今回の選択肢は、原発依存度の次が、再生可能エネルギーを何%にするかが掲げられ、残差を火力で埋めるという思考形式が分かるような表になっている。そのことからしても、我々はいまだに温暖化対策に気を取られ、エネルギー政策を集中的に議論しているわけではないことが分かる。原発依存を低減させようとするとき、エネルギーの量や経済性が重要なのか、それとも温室効果ガスの削減が優先するのか、その政策目的のプライオリティについての議論なしに政策の方向性を決めてしまうことがあってはならない。

 今回の国民的議論の対象が、実はエネルギーの量や経済性の確保が重要か、それとも温暖化対策の方が重要かを問われていると理解している国民は、ほとんどいないのではないだろうか。政府が選択肢の説明をきちんとせず、世の中が原発依存度の数値だけに議論や関心を集中させていくことを放置しているのであれば、極めて不誠実と言わざるをえない。