起きてほしいことと起りそうなこと

 天然資源に乏しく、環境立国である日本において、再生可能エネルギー関連の技術開発と導入が進むことは望ましい。しかし、再生可能エネルギーは、全量固定価格買取り制度などのハンデキャップをもらわなければ普及しない経済性しか持たない。

 負担を誰かに背負わせて導入を進めるには、負担する側の同意も必要になってくる。ところが、こうした負担がいつ頃、どの程度、どのように発生するかの理解が一般に理解が浸透しているとは言えない。こうした状況では、再生可能エネルギーの導入は時間をかけて進めるべきだ。

 また、楽観的な想定により導入見込みを大きく見積もっても、実際にはそれほど導入が進まないかもしれない。その原因となりそうなこととして、以下の3つが考えられる。

 第一に、電気料金が急上昇し、国民負担が増大することは間違いないが、それが一般にあまり知られていないため、実際にそうなった時点で大きな失望感や反発が広がる。再生可能エネルギー推進論者が聖地扱いするドイツでさえ、同じことが起こったのである。

 第二に、適地は加速度的に減少するということだ。導入初期には適地が相当あるから、すぐに開発が進むので、一挙に再生可能エネルギーが増加したような印象が生まれる。しかし、適地は急速に減少し、限界費用が急増する。風力などは洋上に出て行った瞬間、漁業権の問題が発生する。原発ではないからといって、風力であるからといって、漁業権の補償額が少なくなるだろうか。

 第三に、政策への歯止めが生じる可能性だ。これまでも何度も再生可能エネルギーに焦点が当たって、国費がつぎ込まれてきた。しかし、それが多額になればなるほど、政策の継続には歯止めがかかる。エネルギー政策は数十年間のスパンで継続しなければ、望ましいエネルギーミックスを実現することは不可能だ。しかし、政策継続は極めて難しいのが実態である。

原子力20・火力60・再生可能エネルギー20

 筆者は、エネルギー安全保障と経済に悪影響を与えすぎないミックスとして原子力20%、火力60%(石炭25%、LNG30%、石油5%)、再生可能エネルギー20%と提案したい。原子力に対する厳しい現状及び日本にとっての地球環境問題の政策的プライオリティ低下を考慮したものだ。

 エネルギー政策を考える際の基本として、3つのEがある。(1)エネルギー安全保障(Energy Security)、(2)経済性(Economy)、(3)環境性(Environmental)である。これまで、日本の置かれた状況などにより、それぞれのEの優先順位が異なっていたものの、この3つのEはどれも欠けることなくバランスをとりながら「三位一体」で目標を追求してきた。

 国内の電力が逼迫し、火力発電への依存を強めている今、第一のプライオリティは「安全保障・安定供給」に戻っていると考える。さらに、日本を取り巻く内外の環境がますます悪化していっているなかで、持続可能な経済を実現するためにも、続く第二のプライオリティは「経済性」である。