最もインパクトの強い数字を使って1行で言い切る

・社内会議の場合

 欧州支社と日本支社など、同じ社内であれば、ある程度赤裸々に語れるでしょう。お互いが抱えている共通の問題であれば、次のような言い方ができます。

We’re losing about $100,000 a day.
→毎日10万ドルもの損失を垂れ流しているのです(ショッキングな現実で危機感のパンチラインを打ち込む)。

Together, I’m sure this team can find a solution.
→皆で臨めば、解決策を見つけられるはずです(鼓舞する言葉を添える)。

 一方、イギリス支店で問題があり、東京本社から駆けつけるといった、先方が問題を抱えている場合、相手を責めず、しかし問題が起きていることは改めて認識したい。

 そういうときは、当事者を「you」ではなく「we」としましょう。「あなたが問題を抱えている」のではなく、「我々共通の問題である」という姿勢が相手の共感を呼び、より協力が得られやすくなるはずです。

As eveyone knows, we’re facing a serious challenge.(youではなくweを使う)
→知っての通り、我々はシリアスなチャレンジに直面しています。

According to the data you sent us, the company is losing approximately $100,000 a day.
→事前に送ってもらったデータによると、毎日10万ドルの損失が出ています。

I’m sure that together we can find some solutions.
→一緒にやれば絶対に解決できます(チームを鼓舞する)。

 ポイントは、「毎日10万ドルを垂れ流している」という問題を、定量的でパンチの効いた1行で言い切ることです。

 なるべく数字がインパクトを持つ最も短い期間を選んでください。業界や会社のサイズによっても違いますが、「$8,000/day」では弱ければ、「Over $50,000/week」と期間を調整します。

 また、「時間/期間ごとに問題が起きていることを示す」「悪いことが起きるであろうことを期限つきで示す」のも効果的です。

There’s an order lost every 23 minutes.
→23分ごとに1つオーダーを取り損ねている。

Every 10 minutes, a defective product is made.
→10分ごとに1つの不良品を出している。

We’ll run out of cash in 6 months.
→6カ月でキャッシュが底をつく。

The company may have to make some drastic changes in 6 months if there’s no improvement.
→改善がなければ、6カ月で大ナタを振るわれる。

 もし、$1 millionという金額では危機感が伝わりにくい場合、売上げや純利益の何%という形にすれば、サイズ感が捉えやすくなることもあります。「The loss is about 12% of our sales.」(→売上比12%のロス)、「The loss is about 25% of our net profit.」(→純利益比25%のロス)など、問題の大きさを捉えやすい指標で訴えましょう。 

「パンチの効いた一言」で、会議に緊張感を持たせる
児玉教仁(こだま・のりひと)
イングリッシュブートキャンプ株式会社代表
ハーバード経営大学院 ジャパン・アドバイザリー・ボードメンバー
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー アドバイザー
静岡県出身。静岡県立清水東高等学校を卒業後、1年半アルバイトで学費を稼ぎ渡米。ウィリアム・アンド・メアリー大学を経済学・政治学のダブル専攻で卒業後は、シアトルでヘリコプターの免許を取得後帰国。1997年4月三菱商事株式会社入社。鉄鋼輸出部門に配属され様々な海外プロジェクトに携わる。2004年より、ハーバード経営大学院に留学。2006年同校よりMBA(経営学修士)を取得。三菱商事に帰任後は、米国に拠点を持つ子会社を立ち上げ代表取締役として経営。2011年同社を退社後、グローバル・リーダーの育成を担うグローバル・アストロラインズ社を立ち上げる。2012年よりイングリッシュブートキャンプを主宰。イングリッシュブートキャンプ社代表も務めるかたわら、大手総合商社各社をはじめ、全日本空輸、ダイキン等、様々な国際企業でグローバル・リーダー育成の講師としてプログラムの開発・自らも登壇している。