本当は幻滅期に入りつつあった「コミュニティ」ブーム
小島:確かに、ビジネスコミュニティに仕事として向かい合うことになった人が増えているように感じます。新型コロナウイルスがここまで大事になる前、2020年はどんな時代になるかというテーマで話す機会がありました。その時、僕は「これからはコミュニティの幻滅期に入る」と説明したんです。
先ほどお話した通り、上司から突然「コミュニティをつくって」と振られる人が増えて、それを支援するサービスなども生まれています。もちろんその中にはコミュニティには向かないプレイヤーもあります。コミュニティをつくろうにも、そもそもファンのいない会社だってある。製品やサービスの内容に合わないのにコミュニティをつくったら、圧力団体になりかねません。
結局、自社内にはリソースがないから外部の専門家に頼もうとするのだけれど、実際にはコミュニティの知見がない人が任されたりして、そこでつまづくケースが多くなる。だからこのままでは、2020年はコミュニティの幻滅期に入るという感覚があったんです。
そして、新型コロナウイルスの影響でコミュニティブームが更に加速しているので、幻滅期が現実になりつつあるな、と感じてます。
河原:コロナの影響によってコミュニティブームはさらに加速するのでしょうか。
小島:間違いなくコミュニティブームは加速します。ただコミュニティ運営者が定着して、コミュニティ運営の支援サービスなども広がってきたら、よりコミュニティの成否が分かれてくると思います。同じ製品やサービスでも、コミュニティ運営者によって回せるかどうかは変わります。運営者の向き不向きも明確に出てくるようになるでしょう。
しかも、ほとんどの会社にコミュニティ運営者のロールモデルが存在しません。新しい仕事ですから。だから、適切なメンターに出会えれば開花するけれど、そうじゃない場合は、盛大につまづく運営者も出てくると思っています。そんな時に、この本が一つの拠りどころになるといいなと思っています。(後編に続く)