ビデオ会議では、電話ではできない複数人数での“顔が見える”コミュニケーションが行えますから、画面に映る相手の所作で、思いや感情、場合によっては相手の技術レベルなども読み取れます。ビデオ会議を行うことで、こうした非言語的コミュニケーションがビジネス会話においても、非常に重要だと分かった人も少なくないはずです。

 テレワークは、まずはこうしたビデオ会議の導入から始めるのもひとつでしょう。それでも、社員のITリテラシーなどがあまり高くなかったり、予算がなかったりして、どこから手をつけていいのか分からないという企業も少なからずあると思います。

 そうした企業はまず、以下のようなポイントから検討されてはいかがでしょうか。

利用者のITリテラシーを求めない
テレワークシステム構築

 本格的にテレワークを実践でき、顧客対応にも成功している企業とそうでない企業の差は、テレワークの経験と利用者のITリテラシーの有無によって生まれています。しかし、現在テレワークを実践できている企業も一朝一夕に今の環境を築けたわけではありません。多くの失敗や改善を経て今日に至っています。

 とすれば、最初は、彼らも経験してきた「想定できるテレワーク下での課題」をカバーできる仕組みを考えるべきです。

 本格的なテレワーク未経験の企業にとって最もハードルが高いのは、イントラネットに社外からアクセスさせる際の環境設定と手順です。これを省き、エンドユーザー(社員)がいつもオフィスにいるのと同じような操作性で業務ができる方法を検討します。

 会社のセキュリティーポリシーを極力維持した上で、オフィスに置かれている自分のPCに自宅 PCからリモートでアクセスさせ、いつもオフィスで仕事をするのと同じ環境を提供する仕組みが構築できれば、社外から動作させることが難しいERP(Enterprise Resource Planning、経営資源管理)アプリケーションも操作することが可能になります。

 複雑な認証やセキュリティの負担を軽減させる意味でも、クラウド型のテレワークサービスは導入しやすいかもしれません。また、会社のPCのリモート電源オン・オフ機能も追加しておきましょう。

 このように情報セキュリティー(認証や通信の暗号化など)を担保した上で、できるだけシンプルな構成で、いつも使っている自分のPCをリモート操作させる仕組みであれば、利用者のITリテラシーに頼らない運用が可能となり、IT部門管理者の構築負荷(スキルや経験、費用)の軽減につながります。

 ただ、リモートならではの性能面の遅延や予期せぬトラブルは発生します。ITリテラシーが高くない従業員向けに電話ではなく、チャットを使ったテレワーク・ヘルプデスク機能も必須です。