今回のコロナ禍において、多くの企業で導入されたテレワーク。緊急事態宣言が解除されてから通常勤務に戻った企業も少なくありませんが、新規感染者数が再び増加している中で第2波に備えて、改めてテレワークの導入を検討する必要があります。では、どのようにテレワークを浸透させるための準備を行えばいいのでしょうか。プリンシプルBCP研究所の林田朋之所長がテレワークを浸透させる方法を「システム面」と「労務管理」の2つのポイントから解説します。
Zoom、Teams、Webex……
ビデオ会議で広がったテレワーク
当初、一部の大手企業だけが実践できる仕組みだと考えられていたテレワークも、このコロナ禍でいつの間にか、多くの企業で行われるようになりました。そこに大きく貢献したのが、ZoomやTeams、Webexなどのビデオ会議システムです。
テレワークの定義は幅広く、企業によってその形態はさまざまです。会社のメールアドレスによる社内外とのコミュニケーション、ファイルの作成や交換、ファイルサーバへのアクセス、独自業務アプリの実行などについては、自宅のパソコン(PC)が単にインターネットにつながっているだけでは十分に機能しません。自宅のPCは会社のPCと違い、セキュリティーポリシーや搭載しているソフトウエア、動作し得るアプリケーションも異なります。会社のPCを自宅に持ち帰らせるのを禁止している企業もあり、自宅では限られた業務だけを行わざるを得ないこともしばしばです。
ところが電子メール以外のコミュニケーション手段として、ミーティングができるビデオ会議ツールは、自宅にあるカメラ付きのノートPCで簡単に利用することができ、ある程度セキュリティーを担保した上でファイル交換もできることから、Zoomや MicrosoftのTeams、Skype、Cisco のWebexなどは、全世界の企業や自治体、学校等の組織に急速に展開されることになりました。
我々コンサルタント業界でも、今回の新型コロナウイルスの感染拡大でセミナーや企業の教育研修が軒並み中止になり、非常に困っていました。しかし、これらのビデオ会議ツールによって、リモートでのセミナー(Webinar)や研修を行えるため、聴講者が誰もいない教室や会議室でPowerPointを使ったセミナー講演をライブ配信で行うことができるようになっています。またライブばかりでなく、録画することによって、オンデマンド配信も可能になったことから、企業の教育研修では必須の仕組みになってきています。
テレワークの環境において、会議や教育セミナー研修は、会社側が導入する気になれば、簡単に実施することができる、最もリーズナブルなテレワークツールかもしれません。