国民の「怒り」のバロメーター
ポピュリズム政権交代の予兆

 ここで、2020年代の日本の論点として考えなければいけないのは、「では、日本でも同じことが起きるのか」という問題提起です。それは、国民の怒りのレベル次第なのですが、新型コロナ感染拡大、麻雀検事長の定年ゴリ押し問題、桜を見る会問題などで、溜まりに溜まった国民の怒りを測定するバロメーターとして、今回の都知事選が役立つと思います。

 2020年の東京都知事選は、過去最多の22名が立候補する中で、世論調査を見る限りは奇妙な対立構図の中で、現職の小池百合子都知事が圧倒的に有利に選挙戦を進めている様子です。

 私が「奇妙な」と表現する理由は、ご存じの通り、第一に国政与党である自民党が独自候補を立てなかったこと。第二に立憲民主党、国民民主党、社民党、日本維新の会、共産党の主要野党が公認候補を立てられなかったこと。そのため、現職の小池百合子知事の再選が確実ともいえる状況ができ上がりましたが、なぜかそこで他の候補に票が割れている点が奇妙なのです。

 とはいえ、立憲民主党、社民党、共産党の支援を受ける元日弁連会長の宇都宮健児候補と、日本維新の会が推薦する元熊本県副知事の小野泰輔候補は、ともに無所属とはいえ、小池候補に対抗する従来野党の候補と位置付けることができます。この2候補の得票は、従来型の選挙分析としては、小池都政に対する反対票ないしは批判票だといえるはずです。

 そして従来の選挙戦でいえば、それ以外の候補は十分な得票を得られない、マスコミが言う泡沫候補の位置付けで終わる、というのが手堅い流れのはずでした。実際、22名の候補者の政見放送やポスターを見ると、とんでもない意見をお持ちの候補も少なくありません。

 しかし予測ですが、この選挙は当選結果とは別に、票の流れは荒れるはずです。今回の選挙は現職、主要野党2候補以外に注目すべき第三極があり、その第三極への票の流れ次第で、日本でも海外と同じような政権交代が起き得るのかという、国民の「怒りの度合い」が測定できるのです。

 その注目すべき候補者が、山本太郎候補と立花孝志候補です。今回の都知事選の一番の注目点は、この2人に合計して有効投票の何%が投じられるかです。その結果次第で、今後行われる2020年代の日本の国政選挙の未来が、変わるかもしれないのです。