上場企業全体を対象とした倒産危険度ランキングに加えて、新型コロナウイルスの感染拡大で、甚大な打撃が避けられない13業種について、それぞれ業種別のランキングを作成した。特集『大失業時代の倒産危険度ランキング』(全29回)の#9では自動車業界を取り上げる。9社が危険水域に入った。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
私的整理申請のサンデンは対象外だが
試算したスコアは危険水域
新型コロナウイルス感染拡大などによる主要市場での自動車販売の減少により、2020年3月期決算で6712億円の最終赤字に転落した日産自動車がランキング1位となった。同期の赤字幅は2000年3月期と同規模であり、前会長のカルロス・ゴーン氏が構造改革に着手して以来の経営危機に陥っている。
内田誠社長は決算会見でも、株主総会でも、自動車事業の手元資金1.5兆円や未使用のコミットメントライン(融資枠)約1.5兆円、緊急の銀行借り入れ7126億円を根拠に手元流動性の確保を強調した。
だが、そのシナリオに早くも暗雲が垂れ込めている。
そもそも、新たな銀行借り入れ7126億円(借入先はみずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、日本政策投資銀行)のうち、政投銀の一部を除けば借入期限は1年。取引先銀行は今回の救済措置を、決算を締める前に目をつぶって実施している。
次回の融資の審査基準が今回以上に厳しくなるのは必至だ。来年5月に早くも資金繰りの修羅場がやって来ることになる。