人口集中問題と同時に過疎問題も抱えているし、地方創生や地域の活性化に関する課題もある。これは同じ東京都といっても、地域特性という要素を考慮してもなお、地域による格差が大きく生じているということでもある。

 さらに、都心や23区内での所得のみならず、インフラ整備やまちづくりに関する格差もある。シャッター商店街や空き店舗は地方都市だけの問題ではなく、東京23区でも見られる現象である。地方で深刻な空き家問題は、世田谷区でも大きな課題であるようだ。

インフラ整備では
自然災害に対する問題もある

 インフラやまちづくりの問題といえば、交通空白地帯の問題や需要に対して交通サービスの供給が全く追いついていない問題などもあるが、自然災害への対応の観点からの問題もある。

 東京の都心は、徳川家康の江戸入府以降、度重なる埋め立てや河川の移設(利根川東遷など)によって可住地域を広げてきた、つまりは都市を拡大してきたわけであるが、比較的近年埋め立てられた地域については、災害時の地盤への懸念(液状化、地盤沈下など)に加え、いわゆる湾岸のウオーターフロントであることから、高潮や津波への備え、強風への備えが重要になる。

 防潮堤や防波堤は、軒並み整備されてきてはいるものの、「巨大津波に対しては脆弱(ぜいじゃく)である」との意見もあり、防災のみならず減災の観点からの対応も求められる。

 加えて、橋梁や橋脚その他の構造物、建物等の老朽化の問題、これは単に耐震性の観点からのみならず倒壊や剥落等の危険性の観点からも、早期に対応していく必要がある。そして、住宅密集地域の問題。一般に災害に対して脆弱であると考えられており、火災の際の広範囲にわたる延焼の危険性を指摘されることもある。

 一方で、住宅密集地域は、往々にして住民同士の関係が「顔の見える」関係であることから、災害時の共助が可能であるとか、火災が発生したとしても早期の発見と消火活動が可能であるとか、そうした指摘もある。

 もっとも、そうした住宅密集地域も、高齢化や若年人口の減少により空き家が増えたり、移民を含む地域外からの住人が増加したりすることで、共助が成り立たなくなる可能性もある。そうなると、住宅密集地域については、一律に道路の拡張と再開発マンションの整備ではなく、地域の実情を踏まえたきめ細やかな防災対応が必要となる。

 なんといっても道路の拡張や新たな道路を都市内で整備することはまちの分断につながり、場合によっては地域の破壊につながり得るので、慎重かつ丁寧に行うことが求められるのだが、これまでの多くの例では整備ありき、拡張ありきで事が進められてきてしまっていたように思う。