そして、3日間のインターンシップで与えられるテーマはそれを上回る難しさだ。2012年から同じプログラムによって行われており、3~4人のチームにメンターが1人ついた状態で、リサーチ(中間課題)をしたうえで新規事業を考える(最終課題)ものになっている。

 まず中間課題として、「特定の産業を分析し、その産業にユニークな価値を提供しているプレーヤー、事業者、サービスをピックアップする」というテーマが与えられる。そして最終課題では、「そのプレーヤーが提供している価値をデジタルマーケティング産業に移転することで生まれる新規事業を考える」ことになる。つまり、デジタルマーケティング産業にUberやAirbnbのような新規事業を生み出すにはどうしたらいいか、という内容だ。

 中間課題については2日目の11時半から、最終課題は3日目の15時からチームごとに発表しなければならないため、スケジュールはかなりハード。そのため「インターンシップ期間中は、学生の作業が深夜に及ぶこともある」(金氏)のだという。

「参加しているのは上位校の学生が大半で、自分で事業をしているような学生もいる。しっかりとリサーチをした上で、論理的に新規事業案を策定しなければならないため、“小手先のプレゼン上手”な人ではとても課題を乗り越えられない」(金氏)

アウトプットの品質は向上?
オンラインならではの意外なメリットも

 ただでさえ難易度の高いプログラムを今年はオンラインで行ったわけだが、金氏は「参加したメンターからは、とてもポジティブな反応ばかりだった」と振り返る。オンラインインターンシップならではのメリットとして金氏が挙げるのが、主に以下の3つだ。

 まず1つ目が、「メンターの負担が軽減された」点だ。実際、対面式のインターンシップではないため、メンターがずっとインターンシップに参加する学生(インターンシップ生)につきっきりになる必要はない。その半面、オンラインでのコミュニケーションについて、苦労があったのかと思いきや、「大変だと感じることはなかった」(金氏)という。テキストでのコミュニケーションとしてslack、音声やビデオでのコミュニケーションツールとして、ボイスチャットツールのDiscordを使用するなど、ツールを事前に準備しており、「今の学生は、オンラインコミュニケーションにとても慣れている」(金氏)ことも大きかったようだ。

「ボイスチャットで音声をつなぎっぱなしにしているので、いつでも話しかけられる安心感が学生にはあり、メンターの負担減にもつながる良い結果になった」(金氏)