公的機関の窓口で相談する際には
自分が求める支援を具体的に伝える

 ここに至るまで、ゆおさんはなかなか問題解決の糸口が見えないことに虚しさを感じてきた。そこで、公的機関の窓口に相談するときは、「他のところではこういう事例を聞きましたが、こちらでも可能か検討していただけませんか?」などと具体的な事例を引き合いに出して、自分が求めている支援を具体的に伝えるようにしてきたという。

 「それは難しい」という回答があった場合には、低姿勢で「なぜそれが難しいのか、差し支えなければ、理由を教えていただけませんか?」と頭を下げながら尋ねた。できない理由が分かったら、きょうだい会や学習会に持ち帰り、そこで新たな情報を入手。それを踏まえてさらに行政や福祉の窓口に問い合わせるという方法で相談実績を積み重ねた。

「短期目標として、『本人自身が、家族以外の他者に安心感と信頼感を感じ、他者とかかわる必要性を感じられる』というものを設定した。そのことにより、まずは本人が安心できる家の中からスタートさせることで、『家にいたままでもよい』『無理やり外に連れ出さなくてもいい』というゆとりが生まれ、『家の中でできる仕事(内職/在宅ワーク)をしてみよう』という方法に結びつけることができた」(ゆおさん)

 もちろん、「本人の気持ちに寄り添う」というゆとりを家族が持ち合わせていたことと、その意向に寄り添った手立てを実践できるスタッフに出会えたことが大きかっただろう。診断を受けたがらずに家の中にいても社会とつながることができることを、ゆおさんは実践した。

 現在は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、兄の仕事も休業状態になっているという。

※この記事や引きこもり問題に関する情報や感想をお持ちの方、また、「こういうきっかけが欲しい」「こういう情報を知りたい」「こんなことを取材してほしい」といったリクエストがあれば、下記までお寄せください。

Otonahiki@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください)

 なお、毎日、当事者の方を中心に数多くのメールを頂いています。本業の合間に返信させて頂くことが難しい状況になっておりますが、メールにはすべて目を通させて頂いています。また、いきなり記事の感想を書かれる方もいらっしゃるのですが、どの記事を読んでの感想なのか、タイトルも明記してくださると助かります。


【著者新刊】ルポ「8050問題」: 高齢親子〝ひきこもり死〟の現場から (河出新書)

7/25(土)NPO「楽の会リーラ」講演「ひきこもり状態からの回復へ向けて、孤立からつながりへ」(コロナの状況により中止になる場合があります)

●池上正樹 個人コラム『僕の細道』はこちら

TOP