チャーチルは人種差別主義者?
影響は英国やベルギーなど欧州にも

 抗議運動は大西洋を越えて、欧州にまで波及している。6月7日、英国西部の港湾都市ブリストルで行われた抗議デモで、17世紀に奴隷貿易によって巨額の富を築いたエドワード・コルストンの像が引き倒され、海中に投げ込まれた。

 英国では17世紀から18世紀にかけて、アフリカから黒人を奴隷労働者として米国に運ぶ奴隷貿易に関わり、巨万の富を築いた者が少なくない。彼らの中には、そのお金で地域の貧しい人たちのために学校や病院を設立した者もいて、結果的に彼らの像が建てられるようになったようだ。しかし、抗議団体はこれらの奴隷商人の像を全て撤去するように求めているという。

 抗議団体はまた、奴隷制や人種差別などの歴史を象徴する人物にも焦点を当てている。

 コルストンの像が倒された数日後、ロンドンではウィンストン・チャーチル元首相の像が「レイシスト(人種差別主義者)」と落書きされた。そこで地元政府は、6月13日に予定されていた大規模な抗議デモの前に、チャーチル像を保護するために囲いで覆う措置をとったという。

 チャーチルは、第二次世界大戦で英国を勝利に導いたとして賞賛される人物だ。英国政府のウェブサイトには「感動的な政治家で、作家で、雄弁な語り手で、指導者だ」とあり、また、BBCが行った「最も偉大な英国人」の世論調査で第1位だったという(2020年6月12日、BBCニュース)。

 一方で、「チャーチルは人種差別主義者だったことは全く疑いようはない」との指摘もある。近く発売予定の著書『The Churchill Myth』の共著者で、歴史家のリチャード・トイ氏によれば、「チャーチルは確実に白人が優れていると考えていた。はっきりそう言っていた」「チャーチルは、インド人は汚らわしい宗教を信仰する汚らわしい人間などと不快な発言をしていた。中国人についても不快なことを言っていた」という(同上)。