4. 会議のようなところで語ってみる

 プレゼンテーションそのものはオンラインでも対面でもできる。しかし、皆が会議室で顔を合わせて実施する場合ならではの副産物がある。アイデアに期待ができそうだと参加者が実感した場合、うまくいけば「これ、いけるやん」「これやりたいー!」といったプラスの反応や連帯感を引き出し、熱狂的な前向きのエネルギーを生み出すことが可能なのだ。オンラインでも無理ではないが、やはり対面での盛り上がりにはかなわない。

5. 社内外の人を巻き込み、プロトタイプとともに実施計画書のようなものを仕上げる

 多方面の協力者を巻き込み、プロトタイプのような製品や実施への計画書を作る。この段階では、一般的にプロジェクトルームのようなものが設けられ、そこには、顧客の利用イメージの写真やデザイン画、スケジュールなどが壁に貼られ、ホワイトボードには、言葉とも絵ともいえないようなものが書き連ねられている。まさに、人々の情熱と知恵と夢が凝縮された部屋である。

 関係者はこの中で数限りない議論や試作を重ねることで、これまでにはない、違った価値を作り出す……というのが、これまでのプロジェクト進展のイメージである。リモートワークでは、プロジェクトルームのようなものがネットワークの中に作られることになるが、ここで人々が直接会って話すことで加わるアイデアの数々や熱量と同じくらいのものを達成できるかは疑問である。

6. 重要な会議などでプレゼンをし、承認される

 前半戦最後の山場は、意思決定者から承認をもらう重要な会議でのプレゼンテーションである。リモートワーク下においては、やはり参加者全員から前向きのエネルギーを得ることが難しい可能性はある。

 しかしながら、こういう偉い人たちが出る会議は、そもそもあまり参加者が積極的ではないうえに、やたらと立派な会議室やもったいぶった雰囲気の中、発表者は萎縮せざるを得ないのが通例だった。そう考えると、一人一人の顔が少なくとも画面上には上下関係なく表示され、ある意味対等な立場でやりとりできるようにみえるオンライン会議のほうが、プレゼンはやりやすいかもしれない。

7. 実施に向けてプロジェクトが立ち上がり、参加者が決定する

 会議でGOサインが出て予算もついた。しかし、問題はここからである。プロジェクトを一緒にやってくれる人を募る、というより無理矢理にでも獲得しなくてはならない。新しいプロジェクトの場合、定常業務に比べてかかる負荷は圧倒的に高く、かといって成功可能性が高いわけではない。期待値で考えると、第三者がプロジェクトに真剣に関与するメリットはあまりない。

 その場を一緒に共有していれば、3.の企画書づくりと同様、発案者の熱意にほだされて、一緒にやってあげてもよいかなと、うかつに思ってしまう人も出てくるかもしれない。しかし、家の中にいて仕事のウエートが大きく下がっている状況で、困難なことが分かっている業務に参加してくれる人を発見し、説得する難易度は、以前よりも相当高まっていると思われる。