コロナは、どうやら経済の「変化」を加速する効果を持っているようだ。インターネット経由のショッピングやテレワーク、人事制度の変革、副業の浸透など、「こう変化するだろうが、時間が掛かる」「こうした方が本来は合理的だが、抵抗が大きい」と映っていた幾つもの変化が、コロナを機に加速しつつある。

「中間層の没落」もコロナが加速する変化リストの1つに加わるのではないか。

 コロナには、どうやら2つの「中間層破壊効果」がある。

 1つは、典型的には観光業や飲食業、さらにコロナによって需要が減少する製品を持つ幾つかの業種にあって、安定して雇用されていた正社員が失業する形での影響だ。

 これは、正社員の解雇が難しすぎることと合わさって起こる現象だが、仮に需要が戻ったとしても、あるいは別の業種で労働力への需要が発生したとしても、企業側は「正社員」で人を雇うことに対して警戒的だろう。

 失業したかつての正社員全てが、以前と同条件の正社員の立場を確保することは難しい。すなわち、経済的に安定した「勤労者」が、労働市場の「弱者」に転落するといった事態が、業種の偏りを伴いつつ起こりやすくなる。

 もう1つの「中間層破壊効果」は次のように起こる。

 コロナ対策として、まず(1)困窮者救済のための財政支出+金融緩和が行われ、次に、(2)増税ないしインフレ、または2つの組み合わせで(1)のコストが賄われると考えられる。

 相対的に税率が低い「弱者」は少々得をする。一方、相対的に税率が高い「勤労者」は負担が増えて損をする。そして、資産を持っている富裕層は税金の負担が増えるが、金融緩和による資産価値の上昇によって必ずしも差し引きが損だとは限らない。

(1)は経済政策として「正しい」のだが、中間層には厳しい。階層別の損得関係は、アベノミクスの初期の効果に少し似ている。