リスペクトしあえる「美しいお金」をつくりたい

――かかわり方にさまざまな選択肢があると、多くの人を巻き込みますね。

 僕は「他力本願」なんです。お金のデザインをみんなができるようにしていきたいし、自由な発想の中で、新しいものが生まれてきたらいいなと。ただ、従来のお金はあまりにも自由で流動性が高いから、偏ったところに集中しやすい。一方で、お金のデザインや流れが悪いと、残念な経済になりますからね。そうならないためにも、本当に大切にしたいものに光をあてて、幸せなお金が循環するデザインにすることが大事だと思っています。

 eumoに関して、僕は「自分たちで決めない」ということを決めたんですよ。ベーシックなインフラだけを提供して、どう使いこなしていくかは、ユーザーのみなさんに決めてもらおうと思っています。アプリのリリース後、ユーザーのみなさんの声を集めながら、使いやすいように機能を拡張していきます。だから、僕もすごく楽しみなんですね。たくさんのアイデアや要望が出てくると思うので、どう応えていこうかとワクワクしています。

――「eumo」という新しい金融のインフラを立ち上げて、それがオープンソース化されるようなイメージですね。

 そうですね。金融の役割は、インフラに特化することです。主役になっちゃいけない。僕たちはユーザーのみなさんの想いを支えて流れを作る。大切なものを大切にできる社会の実現に向けて、みんなのエネルギーが動きはじめるためのプラットフォームになれたらいいなと。それがこれからの新たな金融の役割だと思います。僕たちは、進化するスピードを止めるつもりはないから。このコロナで進化していかなければと思うし、どんな状況になってもみんなが食べていけるような経済を作りつづけていく。それだけです。今こそ、社会のあり方を見直せるチャンスですからね。

 今は誰も答えを持っていない。東日本大震災の直後もそうでしたよね。みんな手探りのなかで進みはじめて、ポケットマルシェを生んだ高橋博之さんをはじめ、さまざまなイノベーションを生み出した人たちがいるわけですからね。先は見えなくても、ここからきっと素晴らしいものが生まれてくるんですよ。「自分は何の役に立てるだろうか?」。問いつづけて行動していくことが、素敵な10年後をつくることにつながります