次に、ICT投資金額を比べると、米国が30年間で4倍以上に増加しているのに対し、日本では1997年の20兆円をピークに減少傾向にある(図2)。ICT投資の主な目的も、米国企業が「製品・サービスの開発強化」「ビジネスモデルの変革」であるのに対し、日本企業は「通常業務の合理化・コスト削減」と守りの姿勢である(図3)。

 研究開発投資については、日本企業は主要先進国の中でも高い水準にあるが、日本銀行の分析では、その投資も技術革新に効果的に結びついていないことが示唆されている。日銀はその理由の1つとして、日本企業の研究開発が既存事業の改善にとどまり、革新的な製品開発に結び付いていない可能性を挙げている。私はそれに加えて、日本と欧米での業種構成の違いが多少関係している可能性と、研究開発で終わってしまい変革の実現までこぎつけられない(つまり、やり切れていない)可能性があるのではないかとみている。このように、腰を据えて未来のための投資を行わない日本企業の姿勢が投資効率の低さにつながっているのではないか。

四半期決算開示制度が
中長期的視点を失わせる

 なぜ、日本企業は短期的視点の経営から抜け出せないのだろうか?これにはいくつか理由が考えられる。1点目は、前回の記事でも述べたトップの在任期間の短さだ。わずか数年の任期では、改革をやり切ることは難しく、おのずと短期的な思考になってしまう。

 私はこれに加えて、四半期決算開示制度も大きく影響していると考える。かつて日本企業が飛ぶ鳥を落とす勢いで成長し、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」ともてはやされていたころ、その強みの1つとして「中長期視点の経営」が挙げられていた。終身雇用・年功序列・企業内組合といったモデルに支えられ、会社が家族のように一丸となって中長期的視点で会社を盛り立てていた。世界的に見ればかなり特異なモデルだが、少なくとも当時の日本企業は、この独特な方法で世界最高のパフォーマンスをたたき出していた。しかし、決算開示基準が変わって以降、その中長期視点がだいぶ失われてしまったのではないだろうか。